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磯崎・筧・など共著:微積分学入門(培風館)
- 講義をした上での注意点。
- page 27, line -5. 「代入するものが $x=0$ において 0 になり、しかも $x$ のべきのとき」としておきたい。例えば $ x+x^2 $ のようなものだとうまく行かないので。
- page 33, 例題 1.23(3). $(e^x-e^{\sin x})/x^3 = (e^x - e^{\sin x})/(x - \sin x) \times (x -\sin x)/x^3$ と分解してから、後ろの項$(x-\sin x)/x^3$ に page 35 の計算(テーラー展開)を適用する解法も可能。問題 1.19(3) でも、そのような工夫された解答(=テーラー展開を「あまり」使わない方法)があった。$(\cot x - 1/x)/x =( (x-\sin x)/x^3 - (1-\cos x)/x^2) \times (x/\sin x)$.
- page 37では、応用として例題 1.8(2) の別解を与えている。同様に例題 1.8(3) の別解も得られる。(page 15 の注意でも (2) のことのみが触れられているので、念のため。)
- 例題 2.6(2)(3), 問題 2.3(2)(3). 逆関数の積分は、まず置換積分して逆関数を解消するという手法も有効。
- 例題2.7, 問題2.4. それぞれの問題での変形の過程が統一的でなく、工夫を要するところ(page 51 の下方の6行の「解説」の読み取り)が一部の学生にとって理解しづらいようである。一つの解決策として、$t=g(x)$と置換積分することで、与えられた積分$I_n= \int t^n h(t) dt$ の形に5題すべてで表示できる。ここで $h(t)$ は指数関数 $e^t$, 有理関数 1/(1+t), あるいは、2次の無理関数である。これに部分積分を適用するとしたら、$t^n$ を積分、$h(t)$ を微分するのが自然であり、$h'(t)$ を $h(t)$ の多項式倍で表せば、所与の漸化式が得られる。
さらに、コメントを続けると、例題 2.7(2)(3) と問題 2.4(3) の漸化式が似ているのは理由があり、上の形で適当なベキの変換 $t^2= u$ で、被積分関数が同じ形をしているからである。
- page 54, 例題 2.9(1) は例題 2.7(3)から従う。問題 2.6(1) は例題 2.7(1) から従う。単独の問題としては(不定積分を経由する必要はないので)成立するが、演習問題の解答としては前問(不定積分の答え)を仮定してそのような1行解法を採用する学生がある。
- 部分分数展開の一意性を page 60 の冒頭の段階で言っておくと良い。
- page 61, line 6. 部分分数展開の一意性を使えば、この検算の過程は不要。ただし、教育的配慮としては、部分分数展開の形を誤って覚えている場合に、この検算でその誤りを発見できるので、検算として有用。
- page 68, 例題 2.16. page 73 の注意2 の精神に基づいて、ここでは絶対値を付けるべきではない。すなわち、式変形の下から2行めは、$\frac{1}{\sqrt{2}} \left[ \log(t-1+\sqrt{2}) - \log(1+\sqrt{2}-t) \right]_0^1$ と書くべきである。ついでながら、このように計算すると、$=\frac{1}{\sqrt{2}} \left( \log(\sqrt{2}) - \log(\sqrt{2}) - \log(\sqrt{2}-1) + \log(1+\sqrt{2}) \right)$ となり、page 68 の最後の2行の注意に書かれているような式に、自然になる。
- page 69, 問題 2.14. 書かれていることは誤りではないものの、$\cos^2 x =1-\sin^2 x$ なので、$F(\cos^2 x,\sin^2 x)$ は単に $F(\cos^2 x)$ と書くことができる。読み手に無用な不安を与えるのは避けたい。
- page 74. 「広義積分でも置換積分できる」ことに言及しておくと便利。
- page 75, 例題 2.20(1) 不定積分が可能であり、値も求まる。具体的には 32/35。値を求める解法でも広義積分の収束の証明としては正しい(2.7.2節)。
- page 77, 問題 2.16(3) 被積分関数は積分区間上で有界。したがって、広義積分といえるかどうか微妙。(普通の積分。)積分の収束を判定させる問題として意味があるが、問題文を「広義積分」でなく「積分」としたらどうか。なお、これも値が求まり、$100!/2^{101}$.
- page 126, 例題 3.14. 座標を45度回転することによって、$f$ が積の形に変数分離してしまっているので、あまり2変数的とは言えない。(練習問題として価値が減ずる訳ではないが、極値問題という節の中でのこの問題の役割としての注意。)
- page 127, 問題 3.18(2)(4). 問題の要求を超えるが、極値を与える点が三角形の重心であることはコメントしておきたい。極値問題の解にはときおり幾何学的な意味がつく。
- 問題 3.19. 関数 $f$ は、 $(x,y)$ の関数と $z$ の関数の和なので、それぞれの変数に関する極値問題に帰着されてしまう。(本質的に2変数の例なので、この節の解説が活きない。)
- 3.6 節。なお、条件付き極値問題を解く方法は未定乗数法だけではない。特に、例題 3.17 や問題 3.21, 22, 23 では、制約条件 g(x,y)=0 で表される曲線が楕円や直線なので、簡単なパラメータ表示が可能であり、それを目的関数 f に代入して1変数の極値問題とするのが現実的である。3.21(4) も有理パラメータ表示が可能。問題文にあるように「未定乗数法を用いて」と書かないと、定期試験などで出題者側が足をすくわれる。教科書はそこを上手に書いている。
- page 170, 例題 4.9 の解法。$\Omega$ が $u\mapsto -u$ に関して対象で、被積分関数もそうなので、
$\Omega_+ = \Omega \cap \{ u \gt 0 \}$ とすると、
$\int\int_\Omega \left| u \right| dudv = 2 \int\int_{\Omega^+} u du dv$.
さらに $u^2=w$ と置換積分すると、
$= \int\int_{\Omega'} dw dv$, ここで
$\Omega' = \{ (w,v) \mid w\gt 0, w+v^2\lt 1, w\gt 4v \}$.
したがって、放物線といくつかの直線で囲まれた部分の面積に一致している。
これは高校の数II の積分で計算できる。実際、$v<0$ の部分の面積は 2/3, v>0 の部分の面積は $(10\sqrt{5}-22)/3$. この2つを加えて答えになる。
これは高校の数II の積分で計算できる。実際、$v\lt 0$ の部分の面積は 2/3 であり, $v\gt 0$ の部分の面積は $(10\sqrt{5}-22)/3$ である. この2つを加えて答えになる。
- 例題 4.12(2). 変数変換 $ (x,y) = (x, xt)$ によって、領域 $D$ は長方形領域に写され、積分は1変数に帰着される。(被積分関数が同次であることも効いている。)なお、$\log(1+\sqrt{2})$ は、page 67, 例題 2.15(2) に由来。
- 例題 4.15, line -5. この式は page 79, 問題 2.18(2) で証明済み。
逆に、2章の段階で、ここを視野において、$m,n$ を実数として証明が成立することを言及しておく。
- 問題 4.19. 高さ2a の円柱の半分なので、体積は円柱の半分、とすると小学生で解答可能。それはともかく、
解答例。ここにあるいように奇関数を利用するのなら、 $t$を $\theta$ に置換する前にその項は消去できる。
残った偶関数の項は円の面積。つまり、小学生の解答を式で再現していることになる。
- page 193, 問題 1.4 の解答。説明の向きとして「$\sin y = \sin x$, $-\pi/2 \le y \le \pi/2$」を解く、という問題だと思って、「$-\pi/2 \le x \le \pi/2$ のときは $y=x$」「$\pi/2 \le x \le 3\pi/2$ のときは、$-\pi/2 \le \pi -x \le \pi/2$ で、$\sin y= \sin x = \sin (\pi -x)$ なので $y=\pi-x$ 」と進む方が飲み込みやすいようである。

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