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太田琢也、西山享「代数群と軌道」数学書房


- p2, 例1.4.3行目。 「まったく」異なる。
2つの位相が異なることは正しいのだが、「まったく」異なるの定義がはっきりしない。

-p3, line 3. 「性質の多く」。何を指しているのかがおそらく読者には伝わりづらい。

- p3, line 18. 決まらない「が」。
この「が」よりも前の部分「$X$ を定義する多項式系は多数存在する」と後の部分「$X$ は、、、イデアル $I$ にしかよらない」の文章の関係はどのようになっているのだろうか?
「が」よりも前の部分は、異なる定義多項式系が同じ $X$ を与えうることを主張している。
「が」よりも後の部分は、定義方程式系の生成するイデアルが一致すれば同じ $X$ を与えることを主張している。
つまり、異なる定義多項式系が同じイデアルを生成するならば、前の部分の主張の例を与えることになる。
この状況で、2文を「が」でつなぐのが適切かどうか。

- p3, 式(1.2) で定義される $\mathbb{I}(X)$ も $X$ の定義イデアルの一つである。書きぶり(「が」の使い方)からは婉曲にそう読めなくもないが、明示的に書かれているとは言いがたい。

- p4, line -5. 「$f(a) \neq 0 (a \in X)$ であるが、このとき $g(x) \in \mathbb{I}(X)$ となって $g(x)$ の取り方に」。その直前に $Z_2 \neq X$ と $Z_1 \cup Z_2 =X$ を得ているので $Z_1 = \emptyset$ と仮定すればすぐに $Z_2=X$ となり矛盾が導ける。改めて関数 $f,g$ に立ち戻る必要がない。そこでこれらを削除して、「もし $Z_1=\emptyset$ ならば、$Z_2=X$ となり矛盾する」としたらどうかと思う。


- p5, 式(1.3) で扱われている閉集合の減少列は p2, 演習1.3 の特別な場合と言えるのでは? 同じ Hilbert の基底定理を2回使っている感じ。 

- p5, 定理 1.11の1行目。「真の」。削除する? 理由:$X$ が既約であるときは $X=Z_1$ とする必要があるだろう。

- p11, line 6. 「だけ」。括弧書き「(無数にある!)」がなければこのままで良いと思うが、括弧書きとの相性が良くないので、削除して、「選び方(無数にある!)の任意性が、、、、」とした方が良いように思う。

- p20, line -5. おそらくいきなり $\mathbb{C}[X \times Y] = \mathbb{C}[X] \otimes \mathbb{C}[Y]$ が出てくるが、これはp22 問題1.5 で扱われる。

- p29, line 3. 難しくない「が」。誘導をつければ難しくない「ので」章末問題として出題しました、というニュアンスではないかなあと思う。あるいは、分解定理などを使った別の証明を想定していて、それだと難しくはないけれど、ここではその証明とは異なる誘導をつけています、ということだろうか、まさか。

- p29, line -10. これはこの本の立場として堂々と表明されていることであるので、良い悪いを論じないが、この本では、「既約表現、部分表現、商表現、表現の直和、表現のテンソル積」の定義は与えない。定義を知らない読者は、そこにあげられている参考文献などで自学する。

- p30, 定理2.10 の直前。$\mathbb{C}[G]$ を正則関数環とすることは、p9 で $\mathbb{C}[X]$ の時にも既述である。

- p32, line 1. $x$ を入れた式が証明つきで書いてあるが、$x$ のない式が p31, line -7 で既出である。また、p32, line 2 で$\mathbb{C}[G]$ に入ると結論するには、$x$ のない式の方がより望ましいように思う。

- p32, 定理2.10 の証明の最後から3行目。「明らかに」。$G$ において、$g \mapsto g^{-1}$ が代数多様体としての射であること(定理2.2(2), p25)を使うことになる。

- p45, 脚注10。補足すると(というか、わからなくて、著者に説明したもらったんだけど、)この定理(3)の状況、つまり、全射準同型 $\varphi: G \rightarrow H$ が存在する時, $K=\mathrm{Ker}\, \varphi$ とすると、2つの部分環 $\mathbb{C}[G]^K \subset \mathbb{C}[G]$, $\varphi^*(\mathbb{C}[H]) \subset \mathbb{C}[G]$ があるが、$\mathbb{C}[G]^K \subset \varphi^*(\mathbb{C}[H])$ が成り立つかどうかがこの時点では明らかではない。という事情で、後ろの第5章に対する言及がなされている。



- p408, 参考文献における省略形。この本の読者のレベルであれば、LNM は Lecture Note in Mathematics、GTM は Graduate Text in Mathematics, PM は Progress in Mathematics などとつづったほうがよいように思う。もしかしたら、それが何の省略形なのかを調べさせるというところまで教育的に配慮されているのかもしれないが。

- p410 [43] 他の5冊は訳者名が記載されているがこの本では省略されているのは意図的?

第1章を読まずに第2章を読み始めた時のためのメモ。序文の p.v-p.viにも書かれているが、第1章は難しく感じられるので「とりあえず第2章から」という読み方をする場合がありえると思う。この場合に、「記号や基本的な定義を必要に応じて参照」するための手引きを以下に記す。

- p23, line -5「主アフィン開集合」はp11, line -3 で定義されている。それが代数多様体であることは系1.37 で証明されている。しかし、系1.37 の証明をたどることは第1章の大部分を読み進めることになり、これは泥沼に陥る。(第1章を飛ばすことに反する。)従って、ここでは、p24, line 11 の大きな式とそこから line 17 までのこの段落の説明が、多項式の共通零点集合としての記述、すなわち(閉)代数多様体としての記述を与えていると思うことに止め、第1章に立ち返らないことにしたい。
- p23, line -3 の「ザリスキ閉集合」は p1, line -4 と p2, line 2 に分けて導入されている用語を合わせると定義されている。
- p24, line 1 の「代数多様体としての同型射」を見つけるのは難易度が高い。p15, 定義1.34 の2行上に問題点の指摘は述べられているのだが、答えがどこかはおそらく、定義1.34 の「正則同型」であり、これを「代数多様体としての同型射」と読み替えるのだろう。このあたり、「同型射」が索引にも見つからないので困る。
- p24, line -11「$G$上の多項式関数」はp3, line -1 で定義されている。
- p24, line -4「積演算が正則関数」あるいは同じことであるが、p25, 定理2.2(2) のところでは、直積集合 $G \times G$ を代数多様体とみなす作業が必要で、それはp22, 問題1.5 を見ると良い。直積に関しては、 p19 のあたりで大々的に行われているが、アフィン代数多様体の直積でなくて、より一般の前代数多様体の直積をメインに与えていて、アフィン代数多様体を扱うだけであれば、事情が難しくなりすぎている。また、アフィン代数多様体の場合の説明がp19, line 9 のあたりに $X\times Y = \mbox{Spec}(\mathbb{C}[X] \otimes \mathbb{C}[Y])$ と記述されているが、Spec の説明を理解するにはまた p10 に立ち戻る必要があり、その読み方では必要な以上に負荷が大きい。  また、実際には、次の 2.4 節の p30, line -1で利用する同型 $\mathbb{C}[G\times G] \cong \mathbb{C}[G] \otimes \mathbb{C}[G]$ をこの段階で用いてしまった方が簡便であると感じる。
- ここまでで2.1 節は読めることになる。つまり、p6-7 の次元論などは、このへんを読むのには不要である。
- 2.2 節では何も使わない。
- 2.3 節:
- p28, line 3「既約分解」がp5, 定理1.11 に解説してあり、それには p4, 定義1.7 から読み進める必要がある。
- しかし、命題2.5 などでは、なぜ、既約分解を導入した後で、それが連結成分への分解と一致する、という流れを取っているのだろう。既約分解を使わずに、連結成分への分解だけを使うことにすれば、位相(つまり、閉集合だけ)を理解しているだけで読み進めることができる。
- p28 の証明で使われている「既約ならば連結」という事実は、、、どこに書いてあるのかな?。
- なお、2.3 節の内容は、2.4 節以降では当分使わないので、この節を丸ごと飛ばすことも可能。

p5, line 6, 補題1.10 の「$\mathbb{I}(X) \supset \mathbb{I}(Y) \Rightarrow X \subset Y$」の「容易な」証明(著者に教わったものを少し改変したもの):
$Y=\mathbb{V}(J)$ となるような $J$ が存在する。
$J \subset \mathbb{I}(Y) \subset \mathbb{I}(X)$ なので、
$x \in X$ ならば、$\forall f \in J$ に対して $f(x)=0$ である。つまり、
$x \in \mathbb{V}(J) = Y$ である。これで $X \subset Y$ が示せた。証明終わり。
     もう少し記号的にやると
$Y=\mathbb{V}(J)$ となるような $J$ が存在する。
$J \subset \mathbb{I}(Y) \subset \mathbb{I}(X)$ なので、$X \subset \mathbb{V}(\mathbb{I}(X)) \subset \mathbb{V}(J) = Y$. 証明終わり。


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