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斎藤毅「線形代数の世界」東大出版会

  • 講義をした上での補足や注意点など。
  • p67, 命題2.4.8. ここまでは基底を表に出さない議論が多かったので、ここも基底を使わない流儀をまず済ませておいて、そのあとに有限次元の場合は基底を使う2段階の議論でするとすっきりするように思う。すなわち、(i) $f:V \to W$ の核と像の補空間をそれぞれ $V'$, $W'$ とする。この時、$f:V\to \mbox{Im }f$ の定義域を $V'$ に制限した写像 $f_1:V' \to \mbox{Im }f$ は命題2.4.6 より同型である。$0: \mbox{Ker } f \to W'$ を$0$ 写像とすると、$f=f_1 \oplus 0 : V' \oplus \mbox{Ker }f \to \mbox{Im } f \oplus W'$ である。(ii) 特に $V,W$ が有限次元であるとする。$V'$ の基底を $x_1,\ldots,x_r$ とし、$y_1=f(x_1),\ldots,y_r=f(x_r)$ とする。この時、$f_1$ の行列表示は $1_r$ である。$\mbox{Ker }f$ の基底を $x_{r+1},\ldots,x_n$ とし、$W'$ の基底を $y_{r+1},\ldots,y_m$ とする。この時、$f$ の行列表示は $\begin{pmatrix} 1_r \quad 0 \\ 0 \quad 0 \end{pmatrix}$ となる。
  • p20, 例1.4.7 の最後の行(p20, line -3)の補足。つまり、$\{ e_x \mid x \in X\}$ は $K^{(X)}$ の基底である。
  • p66, 系 2.4.7 $(1)\Rightarrow(2)$ の証明。 補空間$V'$ の存在は、有限次元のときは命題 1.5.9(3)で証明されている。無限次元の時は系 1.6.8(つまり選択公理の応用)で証明されている。すなわち、1.6 節を飛ばして講義する時は系1.6.8 に当たることをコメントする必要あり。
  • p68, 問題B2.4.4 と p77 命題3.1.1 は、設定が共通なのだが、文字$F$ や文字$f$ の役割が異なっていて、講義で、前者を後者の例として扱おうとすると不便。前者では $f$ が任意の多項式で, $F$ は代数準同型。後者では $F$ が任意の多項式で、$f$ は固定している自己準同型を表している。
  • p77, 命題3.1.1 の直前の文。多項式 $F(X)$ の次数と、線型空間 $V$ の次元がどちらも $n$ の場合が記載されているが、もちろん、次数と次元が一致しない場合も取り扱いたいはずである。
  • p92, 定義3.3.1. 一般固有空間の定義は最小多項式が存在する場合に限って述べられている。命題3.3.3.1 を定義式とし、最小多項式が存在する場合には 3.3.1 とも一致する、というやり方で講義では説明した。
  • p93, 命題3.3.3.3 の証明。$V_k$ の添字のつけ方と $V_a$ の添字のつけ方が被ってしまう。それと、3.3.3.1 の右辺が $\displaystyle\bigcup_{n=1}^\infty \mbox{Ker} (f-a)^n$ なので、$W_k := \mbox{ker} (f-a)^k$ と定義し、$V_a = W_1 \subset W_2 \subset \cdots W_{d-1} \subset W_d = \tilde{V}_a$ と空間列を取るのが自然な感じがする。瑣末なことだが、基底も、番号が小さい方 $W_1, W_2,\cdots$ から取っていけば良いし。
  • p201 図7.3に Coker が登場しているが、定義は p203 定義7.3.8で与えられている。なお記号索引p271 に Coker が入ってないことがわかった。
  • p236, 問題B1.6.1の解答の2行目。$W$ は問題文に書いてある部分空間のこと。
  • p236, 問題B1.6.1 の解答に関する補足。その部分空間を外延的記法で書き下すことができる。$W=\{ p(X^2) (X^2-1) \mid p(t) \in K[t] \}$。ここで $K[t]$ の基底として $t^n$ を選べば、解答にあるような基底が得られる。$K[t]$ の基底を $(t-1)^n$ とすれば、$(X^2-1)^{n+1}$ も$W$の(別の)基底となることがわかる。
  • p240, 問題2.4.4 の解答の最後。単項イデアルの記号 $(X^2+1)$ は次の第3章 p82 に登場すると思われる。と思ったら違った。p20, 例1.4.6 で定義済みだった。
  • p240, line 1. $f=q(X^2+1)+aX+b$ は $f(X)=(X^2+1)q(X)+aX+b$ と書きたい感じ。また、p48 でスカラー行列 $a\cdot 1_n$ を単に $a$ で表すと断っているので $F(f)=f(J) = aJ+b$ という本の表示で良いのだが、普通は $F(f) = aJ+b 1_2$ と書くところ。
  • 命題4.2.5.2 の $(W \cap W')^\perp \subset W^\perp + W^{\prime \perp}$ の証明。 添字や $\prime$ のつき方や写像の命名を少し変更してみよう。まず、$W_1:=W \cap W'$ とする。補空間の選び方は、$W=W_1 \oplus \exists W_2$, $W'=W_1 \oplus \exists W_3$, $V=(W+W') \oplus \exists W_4$ とする。この時、$V=W_1\oplus W_2 \oplus W_3 \oplus W_4$ である。それぞれの成分への射影を $p_1,p_2,p_3,p_4$ とする。$p_1+p_2+p_3+p_4$ は恒等写像である。したがって、$f_i := f\circ p_i$ とすると、$f=f_1+f_2+f_3+f_4$ である。また、$f_3 \in W^\perp$, $f_4 \in W^\perp$, $f_2 \in W^{\prime \perp}$, $f_4 \in W^{\prime \perp}$ である。さて、$f \in W_1^\perp$ であれば、$f_1=0$ である。したがって、$f=f_2+(f_3+f_4) \in W^\perp + W^{\prime \perp}$ が示された。 教科書の記号との対応は、教科書の $W_1, W_1', W'', p,q$ が、それぞれここでの $W_2, W_3, W_4, p_2,p_3+p_4$ である。

第6刷では直っているところには * をつけた。(2019. May 8.)

  • * p20, 例1.4.7. line 4. 補足。従って $X$ が無限集合のときは、$K^{(X)} \subsetneqq K^X$.
  • * p28, 例1.5.6. 証明に 系 1.4.10(古い番号) を用いているが、系に挙げられているような基底が一組は存在することは、系では仮定されていて証明されていない。存在の証明には定理 1.6.7(つまりZorn の補題の応用)を使うことになる。この流れは明記されてない。(1.6 節を講義で省略する場合には、どの部分の説明が不十分であるかを講義担当者としては意識しておくことが望ましい。)[この例は 1.5.10 に場所を移動し、改善されている。]
  • * page 27, 定理 1.5.4 の証明の2行め。$V_m \subset V$ は $V_m = V$.
  • * page 29, 定理 1.5.7 の証明の2行め。 「$n \ge 0$ に関する帰納法」-> 「$n \ge m$ に関する帰納法」。 次文「n=0 なら、n=m である」-> 「n=m のときは成立している」。
  • * page 40, 命題 2.1.3 vs page 45 命題 2.1.11. 前者では、$G: Hom(V,W) \rightarrow W^n, F: W^n \rightarrow Hom(V,W)$ だった。 後者では、$F: Hom(K^{(X)}, V) \rightarrow Map(X,V), G: Map(X,V) \rightarrow Hom(K^{(X)}, V)$ である。 なぜか、$V$ と $W$ が逆、$F$ と $G$ が逆になっている。そろえた方が読みやすい。
  • * p56, line -4 の $a_j \in K^m$ と、p57, line 2 の $a_j \in K$ は、異なるものであるが、同じ記号が使われている。
  • * p61, line5. $V'$ は $W$.
  • * p63, B2.3.5. の 1. 「$D$ の」行列表示 $A$ を求めよ、としたい。(2. に表記を合わせる。)

命題4.2.6.4 や命題4.3.6.2 では、「写像 $j: U \subset W$ が単射ならば、その双対 $j^*: W^*\to U^*$ は全射」という、系4.3.7.1 の片側が繰り返し証明されているが、あらかじめどこかでそれを取り出して証明しておけば、本体の証明はすっきりとする。

  • 命題4.2.6.4の後半(p136, line 7から line 9; $\mbox{ev}_x(p)\neq 0$ となる $p\in V^*$ の存在を言うところ)の証明。$g \in (Kx)^*$ を $g(x)=1$ で定める。埋め込み写像$j: Kx \subset V$ が単射なので、その双対 $j^*:V^*\to(Kx)^*$ が全射であるから、$j^*(p) = g$ となる $p \in V^*$ が存在する。この時、$\mbox{ev}_x(p) = p(x) = p(j(x))= j^*(p)(x) = g(x)=1\neq0$ なので証明終わり。(本では、補空間 $V=Kx\oplus \exists V'$ を使って、第1射影 $\pi:V \to Kx$ を定義し、$(Kx)^* \ni g \mapsto g\circ \pi \in V^*$ によって、$j^*$ の右逆を構成することで $j^*$ が全射であることを証明している。)
  • 命題4.3.6.2 の$(\mbox{Ker } f)^\perp \subset \mbox{Im } f^*$ の証明。p142, line 1 から line 9。$U:=\mbox{Im } f$ と略記する。埋め込み写像 $j: U \subset W$ が単射なので、その双対 $j^*: W^*\to U^*$ は全射である。(これは、補空間 $W=U\oplus \exists W'$ を選び、第1射影を $p$ とした時に、$W^* \ni g \mapsto g\circ p \in U^*$ によって、$j^*$ の右逆を構成することで証明されている。)さて、$g \in (\mbox{Ker } f)^\perp$ ならば、$g\circ f^{-1} \in U^*$ は well-defined である。上に示した全射性より、$\exists h \in V^*$ such that $j^*(h) = g \circ f^{-1}$. したがって、$g=g \circ f^{-1} \circ f = h \circ j \circ f = h \circ f = f^*(h)$. したがって $g \in \mbox{Im } f^*$.

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Last-modified: 2019-05-29 (水) 12:55:06 (115d)