雪江明彦「代数学1」日本評論社
- 講義をした上で気がついた点。
- なお、著者自身の正誤表のページあり。
そこに反映されているものは # と書き、このページの後ろにまとめ直しました。(2013.5.17.)
- 命題2.4.18. 証明の1行目の の定義。
n はこの命題の主張の中で固定されている数なので、H を定義するときの動く変数としては別の文字を使うべき。たとえば、H = \{ m \in \mathbb{Z} \mid x^m =1 \} とする。
- 命題2.4.18. (1) \Rightarrow (2) の証明。原文の証明で正しいが、代案を書いてみる:H = \{ m \in \mathbb{Z} \mid x^m =1 \} とすると、H は \mathbb{Z} の部分群である。命題 2.4.17 より、整数 f \geqq 0 があり、H=f\mathbb{Z} となる。d \in H なので、「d は f の倍数である」。d>0 なので f\neq 0 すなわち f>0 である。位数の定義(d の最小性)より、「d \leqq f である」。以上の2つの「」をあわせて、f=d である。さて、仮定(1) より n \in H なので、n は f の倍数である。これは(2) を意味する。証明終わり。
コメント:ここで与えた証明は本質的にはこの本の証明と同じである。改変点は (i)「n=0 の場合のみなので」の議論の部分で d についての仮定を使っていることを明示してみた。(ii) 最後の2文を加えて、条件(2)との関係を明示した。(iii) H の定義の後で、H が部分群であることを述べた。
- p40, 命題4.2.19 の証明。原文の証明で正しいが、背理法を使わずに証明を書くことが可能である:第3文までは同じ。第4文の冒頭、「0\le i<j\le d-1 なら 0<j-i \le d-1なので、x^{j-i}=1_G なら x の位数がd であることに矛盾する。」を「0 \le i\le j \le d-1 ならば 0 \le j-i \le d-1 なので、x の位数がd であることから、j-i=0 である。」に変更する。次の2つの文は削除して、「従って、1,x,\ldots, x^{d-1} は互いに相異なる元である。」に置き換える。
- p40, 命題4.2.19 の証明の2行目。カンマの間の省略は \cdots ではなく \ldotsである。この教科書の他の部分でも ldots で書くべきところが cdots となっているものがたくさんある。ldots と cdots の区別の規則は 小田忠雄, p5, \S 1.5 の末尾を参照。
- p40, 命題4.2.19. なお、この命題の主張は d=\infty でも成立する。証明はじゃっかんの修正を要する。
- p44, 命題2.5.12の証明。原文で問題ないが、代案。H=\{ x \in G_1 \mid \phi_1(x) = \phi_2(x) \} とする。H は G の部分群であり、S を含む。従って、命題2.3.13(2)より, \langle S \rangle =G を含む。証明終わり。
- p57, 命題2.8.7. 原文で問題ないが、代案。x \in S に対して、K=\{ y \in N \mid xyx^{-1} \in N, x^{-1} y x \in N \} とする。K は N の部分群であり、T を含むので、命題2.3.13(2)より \langle T \rangle \subset K \subset N=\langle T \rangle. つまり、K=N. すなわち、xNx^{-1}=N.
次に H=\{ g \in G \mid gNg^{-1} = N \} とする。H は G の部分群であり、S を含むので、\langle S \rangle \subset H \subset G=\langle S \rangle. 従って、H=G, すなわち、gNg^{-1} \subset N がすべての g\in G に対して成り立つので N は正規部分群である。最終段落の4行は教科書通り。
コメント:なお、p94, 定義4.1.26の記号を使うと、H=\mbox{N}_G(N) 正規化群である。
- p69から70. 問題2.3.5 と 2.3.6 は対比しているので、途中で改ページ(特に奇数ページから偶数ページへ)されているので、面白さが半減している。p74に余白が数行あるので、適当にアレンジして、同じページになるようにしてほしい。(著者からのコメントあり。)
- p71. 問題2.5.2. 第2文の内容は、問題文中ではなく、巻末の「演習問題の略解」のページで述べる内容と思われる。p143の「問題2.5.1 のヒント」、と併置すると効果的。(著者からのコメントあり。)
- p73, 演習問題2.8.1(4). 同一の問題を例4.2.5(p99)で(別のアプローチで)扱う予定であることに注意して演習で扱う。(学生が自由に先取り学習することは歓迎だが、教員がヒントを出す場合にどういう方針で行くかを考えておく。)
- p93, 命題4.1.23の3行目。仮定「\left|G\right|<\infty」は不要。なお、すぐ下のコメントを見よ。
- p93, 命題4.1.23の証明の最後の行。\left| G/G_x \right| = \left| G \right| / \left| G_x \right| という等号まで書いてしまうと、G が有限群であるという仮定が必要になる。つまり命題の主張と証明されていることの間に、じゃっかんの差異がある。
- p107, 命題4.5.6 の2行目。\left| G \right| / \left| N_G(H) \right| は (G: N_G(H)) あるいは、\left| G/N_G(H) \right| に修正する必要あり。あるいは、命題にG が有限群であるという仮定をつければ成立するが、このページのline 4 から line 12 までの証明では有限群であるという仮定なしに議論できるような論理になっているので、命題でいきなり仮定をつけるのはあまり望ましいとは思えない。なお、p93, 命題4.1.23 へのコメントも参照。この辺りは、シローの定理以外への応用も視野に置いて丁寧な記述がされているので、そのラインでの一般性のある書き方を堅持しておきたい。
- p104. 定義4.3.11. 岩波数学辞典第4版の項目468有限単純群では、素数位数の巡回群を単純群のリストに入れている。この教科書では、可換な場合を排除しているので、講義担当者として注意が必要。特に、命題4.3.12でぎょっとしないこと。(著者からのコメントあり。)
- 定理4.7.1の証明の p115, line -7 の末尾からこのページの終わりまで。ここでは、「位数4の可換群の分類」を6行を要して解説しているが、次節の「有限アーベル群の基本定理」からすぐに従うことでもある。例えば、p151の問題4.7.5 のヒントの3行目では、おそらくp115にあるような個別計算ではなく、「有限アーベル群の基本定理」を使ったのではないかと推察される。もちろん位数4の場合の分類は「有限アーベル群の基本定理」の証明を理解せねばならぬほど大げさなことでないので、p115にあるような個別的議論が可能であることには意味があるだろう。ただし、それを、定理4.7.1 の証明の中に置くべきか、独立に取り出してどこかで事前に扱うかは趣味が分かれる。付記:命題2.9.2 の適用例として、2.9節に入れておけるレベルの内容である。と、書いたものの、再考してみると、2.9節の本文で必ずしもやっておくべき内容でもなかろう。「もしも4.7節をするのならばやっておいた方がいい」というぐらいの扱いであろうから、やはり、4.7節の中で準備として入れるぐらいしか、場所がないのかもしれない。
- p116. 2行目から9行目「K が正規部分群でないとき H は正規部分群」という事実が証明されているが、この事実は以下の証明では使われていない。従って、次のように改変することが可能である。まず、p116の第2段落(つまり、4行目から9行目)を全部削除する。そして、10行目の「H,K のどちらかは正規部分群なので」を「H が正規部分群ならば」に置き換える。16行目の「場合2:H だけ正規部分群」を「場合2:K が正規部分群でないとき」に置き換える。(著者からのコメントあり。)
- p117, 場合3 の第1段落の line 5 からline 11. この内容は演習問題2.5.7 の答え(p144)と深く関連している。
- p117(a) の「\phi(H) = \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} なので、aba^{-1}=b^2」である。正しいが、詳細を書いておくと、「ab\neq ba なので、\phi(a) \neq id_K. したがって、\phi(a) = f. したがって、aba^{-1}= \phi(a)(b) =f(b)=b^2」
- p117(b) の「G は非可換なので、b \in H で bvb^{-1}=v^2 となるものがある。」正しいが、「b \in G でなく、b \in H に取れる」ことに気づく必要がある。代案を書いておくと「\phi が全射なので b \in H で \phi(b) = f となるものがある。このとき、bvb^{-1} = \phi(b)(v) = f(v)=v^2 である。」
- # このように(a)(b) で議論に並行な部分があるのでなるべく同じ記号を使いたい。(著者からのコメントあり。)
- 定理4.7.1 へのコメント。位数が12のものの分類を考えるときには、すでに、位数が約数(4や6)の群の分類については分かっている、として話を進めるのが自然であろう、必ずしも使わないかもしれないけれど。関連して、位数 6,2 の群の直積で得られる \mathfrak{S}_3 \times \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} という位数12の群が定理のリストで欠落しているように一見思えるが、それは、2面体群 D_6 と同型なのである。
- p117, line -2 から p118, line 14 までの議論の置き換え案。(p117, line -6 から line -3 の続きとして、)L=\langle b,v \rangle と定義する。L は位数2の元b と位数3の元v を含むので、L の位数は6の倍数。w \notin L なので L は G の真部分群なので、 L の位数は6である。w は b,v と可換なので、L と可換。従って、位数を考えて、G \cong L \times \langle w \rangle となる(命題2.9.2 が使える)。さて、Lは位数6の非可換群であるが、それは問題2.10.8(5)(p74)で分類されているので、L は S_3 と同型である。従って、G \cong \mathfrak{S}_3 \times \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} が得られた。なお、これは D_6 とも同型である。証明終わり。
コメント:生成元と関係式を用いている教科書の証明も他の問題を解くときの参考にはなるのだが、場合(a) の繰り返しになっている感じがするので、別の証明を考えてみた。
- p120, line 12「なので」から line 21「c\ge c-\ell+a_i である。」まで。場合分けや背理法など、論理が混み入っているが、次のように直線的に示せるところである。『となる。これより、p^{c+\ell-a_i} h = p^{c-a_i} p^\ell h=p^{c-a_i} p^\ell \beta m' h = p^{c-a_i} \beta m h = p^{c-a_i} p^{a_i} g_i = p^c g_i = 0. したがって、h の位数が p^c であることより、c+\ell-a_i\ge c である。』
- p133, 問題4.3.1(2). 「[i,j] を求めよ」ではなく、いったん x,y を補助的に定義している理由は?
- p135, 問題4.5.8. 命題4.1.23から直ちに従うため、この場所ではなく4.1節に置くべき問題。もしかしたら、この問題ではなくて、別の問題がここに入るのでは?と疑われる。
- p137, 問題4.8.2 と 4.8.3. この節(有限アーベル群)の内容とかけ離れているので、別の節に置くべき。おそらく、4.6 節。
- p141, 問題1.2.2. 私には難しい問題だった。解答例の (a)(b)、あるいは (d)(e) に重複感があるので、Vの双対線形空間、V 上の非退化対称双線形形式全体、 V の基底全体などを挙げたい感じ。ところで、もっと基本的な不変量である V の次元、V の係数体、というのは関手ではないのだろうか。(最初の部分に関して著者からのコメントあり。)
- p144, 問題2.5.7 の答えの1行目。写像 \bar{k} \mapsto \phi_{\bar{k}} は、群としての同型 (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times \cong \mbox{Aut}(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}) を誘導している、と、まず言い切ってしまいたい。その上でさらに、群 (\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times の構造をヒント(c) の意味で「決定」する作業に入っている。(c.f., 系2.4.14.)
- p144, 問題2.5.7(5). 結果の解釈:\S2.5 までの学習の範囲を超えるが、問題2.9.1(p73)で、群の同型 \mathbb{Z}/15\mathbb{Z} \cong \mathbb{Z}/3\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/5\mathbb{Z} を学習する。また、問題2.9.2(p73)により、群としての同型
\mbox{Aut}(\mathbb{Z}/3\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/5\mathbb{Z}) \cong \mbox{Aut}(\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}) \times \mbox{Aut}(\mathbb{Z}/5\mathbb{Z}) が導かれる。そして、問題2.5.7(1) \mbox{Aut}(\mathbb{Z}/5\mathbb{Z}) \cong (\mathbb{Z}/5\mathbb{Z})^\times \cong \mathbb{Z}/4\mathbb{Z} や類似の議論によって \mbox{Aut}(\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}) \cong (\mathbb{Z}/3\mathbb{Z})^\times \cong \mathbb{Z}/2\mathbb{Z} である。
- p156 索引。四元数。quarternion は quaternion。MathSci で検索してみると面白い。
- p157 索引。線形写像は linear map だろう。linear transformation は線形変換V \rightarrow Vでは?。
- p21. (2.1.3) の次の行の行末の式(a^n)^{-1}= a^{-n}は、定義式 (2.1.3)の最後の式a^{-n}=(a^n)^{-1} とほぼ同一である。ただし、n<0 の場合に、逆元の逆元はもとの元(命題2.1.10(4))にあたることを書いていると解釈することもできる。それならば一応、同一ではないけど。しかし、示すべき式 (a^n)^{-1}= a^{-n}は (a^n)^{-1}=(a^{-1})^n に変更すると良いのではないかと思った。でももしかしたら、より一般化して、(a^m)^n=a^{mn} の方がいいのだろうか?(著者からのコメントあり。)
- 第1章、p... 集合の直積 \prod_{\mathbb{N}} {\mathbb{Q}} が空集合ではないところに選択公理が不要、という例について。ポイントは、(i) \mathbb{Q} が \lambda \in \mathbb{N} によらずに同一の集合である、というところ。この場合、有理数、自然数という具体的な集合の形は関係していない。(ii) また、例えば、群の直積は(異なる群の直積であったとしても)、各成分を成分ごとの単位元とする元が存在する(ので選択公理が不要だと思う)。ここの例はどちらの事例とも解釈できる。
「代数学2」
「代数学1」著者自身の正誤表に反映されたコメント。
- # 例2.1.5. A^\times = A \setminus \{0\} と定義しているわけではない。page 26 の中程の定義と、例2.2.4 に注意。例えば、\mathbb{Z}\setminus \{0\} は \mathbb{Z}^\times ではないのだが、ここで挙げられている3つの例からは、そのように誤解する可能性がある。
- # 例2.2.4. M_n(\mathbb{R})^\times = GL_n(\mathbb{R}) は「n\geqq 2 のときに」非可換。(GL_1(\mathbb{R}) は可換。)
- # 命題2.3.2 の証明の前半。y=x^{-1} \in H は x^{-1}=y \in H と書きたい。
- # 命題2.3.2 の証明の後半「逆に」から。条件(2) が証明に現れない。「条件(2) より、群演算が H \times H \rightarrow H という写像を定める」ことに言及しておきたい。
- # p31. 例2.3.9. 実シンプレクティック群を表す記号としては Sp(2n) や Sp(n) ではなく、Sp(2n,\mathbb{R}) あるいは、Sp(n,\mathbb{R}) と書きたい。Sp(2n) は幾何などでは、compact 群を表す習慣である。また、代数群でも valued points 全体を書くときは \mathbb{R} をつけると思う。
- # p35, 2行目。本文のママで正しいが、何が省略されているかがより明示的になるように詳しく書くと、(\overbrace{1_{G_1},\ldots,1_{G_{j-1}}}^{j-1}, g_j,\overbrace{1_{G_{j+1}},\ldots,1_{G_t}}^{t-j}).
- # p39, 命題2.4.18. d の登場するところ「条件 d>0」は(位数と言った時点で)自動的に成り立っているので、書く必要はない。(改めて書かれてしまうと、何か含意があるのではないかと考えてしまう。)
- # p40, 定義2.5.1(4). f は \phi.
- # p43, 例2.5.10の交代群。Ker(\sigma) は Ker(sgn).
- # 命題2.5.13の(1)\Rightarrow(2)の証明。証明の1行目の等号 1_{G_2} = \phi(1_{G_1}) のところでも、命題2.5.3(1) の1_{G_1} \in \mbox{Ker}(\phi) は使われているので、そのあとのタイミングで引用されると違和感あり。代案として、原文の順番を変更して、『命題2.5.3(1) より1_{G_1} \in \mbox{Ker}(\phi) である。逆に g \in \mbox{Ker}(\phi) ならば、\phi(g) = 1_{G_2} = \phi(1_{G_1}) なので、\phi が単射であれば、g=1_{G_1} である。』とすれば、あまり字数は変わらない。
- # p47, 命題2.5.24の証明。3行目。\phi(yx)=\phi(x)\phi(y) のところが気持ち悪い。丁寧に、
1_B = \phi(1_A) = \phi(xy) = \phi(x) \phi(y),
1_B = \phi(1_A) = \phi(yx) = \phi(y) \phi(x) と書いておきたい。
特に、3つ目の等号\phi(xy) = \phi(x) \phi(y)が、\phi が定める写像 A^\times \rightarrow B^\times が群の準同型であることを既に意味している。(証明を省略する必要がない。)
- # 例2.10.6. 2行目. \rightarrow は \mapsto.
- # p71. 問題 2.5.3(2) 条件を少し緩めて、\phi は単射でよい。
- # p71, 問題2.5.6 と p130, 問題4.1.7 は同一。(1)(2)(3)とも。ヒントもほとんど同じ。
- # p73, 演習問題2.9.4 ならびに 2.9.5。内容は 2.9節(直積)ではなく、2.8節(正規部分群)である。従って、2.8.4, 2.8.5という番号づけがなされるべきだし、2.8.3 のあとに置かれるべきものである。
- # p102. 例4.3.6. 2行目。指数 [G:N] はこの教科書の記号だと (G:N). しかし、そのように書く本もあると思うので、p52, 定義2.6.19 で「指数を(G:H) あるいは [G:H] と書く」ってしたら、やっぱり教科書としてはまずいのかな?
- # p108, 証明(4). 本文の証明で問題はないが、「H が G のシローp 部分群であれば、H は N_G(H) の唯一のシローp 部分群である」という内容が、p108, line -1 から p109, line 3 で証明されている。残念ながら、本文の記述だと背理法の中にあるため、その部分を抜粋することができないが、抜粋できるように証明を改変することが次のようにできる:最初の3文は教科書通り。第4文を、「H のこの作用による H_i の軌道が1つの元からなるならば、i=1 であることを示す。」に変更する(教科書の文章の対偶を書いたことになる。)そして、p109 の3行目の「これは矛盾なので、H_i の軌道は2つ以上の元よりなる。」を削除する。
- # この本の構成で 4.6, 4.7 節よりも後ろに 4.8 節の内容が書かれている理由は何だろうか?講義をするときは、4.5 節の後に4.8節を行い、その後、4.6, 4.7, 4.9 と続けて行っても支障ないと思われる。(著者の返答あり。)
- # p116, line -9 の等式の順序。最初の2つの項を逆順にして、4=K の共役の数 =\cdots とすべき。4=[G: N_G(K_i)] という等号が直接書かれるのは、この内容からするとおかしい。
- # p118, line 4. 2面体群の生成元 r,t の取り方が、p88 命題4.1.10(1) と逆になっている(驚愕!)。同じ2文字をちょうど逆にとるのは、混乱を引き起こし、わかりづらい。統一するか、全く異なる文字を使うかをして欲しい。私の趣味としては、p118 の方の記号に合わせてほしいが、とりあえず、どちらかに統一してほしいというのが第1希望。
- # p118, line 6. 「a,b が D_6の生成元と同じ関係式を満たす。」この文の「同じ関係式」の意味が不明確である。この文章は「2面体群の生成元 r,t が満たす関係式すべてを a,b が満たす。」とも読めると思うのだが、そう読んでしまうと、G が D_6 の剰余群であることが直ちに従うため、以下の証明の必要性が理解できなくなる。 p118, line 8 の部分が必要となることからもわかるが、この段階では、2面体群の「全」関係式が命題4.1.10(1) のもので生成されることは、未証明である(p118, line 8-11 で証明される)。前置きが長くなったが、教科書の「D_6の生成元と同じ関係式」とは、直前の「r^6=t^2=1, trt^{-1} = r^{-1}」のことである。式に番号などを振ることで、指し示すものが何なのかを明示的にしたい。
- # p132, 問題4.2.2(2) S_5という記号が出てくる。一応、この本では(1) のように\mathfrak{S}_5 と書いている。
- # p133. 問題 4.2.6. \cdots の両側に2項演算子を配置して、\times \cdots \times のように書くとよい。2カ所。
- # p133. 問題4.2.6. 置換群の位数を n でなく、N としている理由は何か。同じ問題で正規部分群としてN が出てくるので、\mathfrak{S}_n の方がいいと思う。
- # p135. 問題4.5.6(2) \mathbb{Z}/15\mathbb{Z} は\mathbb{Z}/30\mathbb{Z}。
- # p137. 4.8.2(2). 「のの」は「の」。
- # p138. 4.8.3. 「したがって」。前文の証明で要求している命題の成否に係わらず、\phi は内部自己同型ではない。(定理4.2.3 より)
- # p141, 1.1.11(5) の答え。ここのレッスンの内容(目的)から考えると、\delta の後ろの「カンマ」は「かつ」と明示的に書いておいた方がよかろう。
- # p145. 解答 2.9.5. すべての部分群が正規部分群。たとえば、\langle i \rangle は指数2。
- # p146, 4.1.6の答え。(2) は解答例と言えよう。(「答え」「解答例」の説明文はp140にあり。)
- # p146, 4.1.9(2). 成分表示 [y_1,y_2] は使っていないので不要。
- # p147. 4.2.2(2) の答え。後半の設問に対する答えが書いてない。(すべての問題の答えを載せているのではないので、書いてなくてもいいけど。前半の設問に対する答えは書いてある。)
- # p147. 4.2.4(1) の答え。(34)も入ると思うのだが?
- 問題2.5.9を扱う際に問題4.2.8 と関連しているという視点を盛り込むかどうか。(演習をする上での注意点。)
- # p151, 4.7.1 のヒント。「3」は「p」。
- # p155 索引。外部自己同型。outer automorphism が普通だと思われる。
- # p155 索引。共役類。conjugacy class が普通だと思われる。
「代数学2」著者自身の正誤表に反映されたコメント。
- # p25, 定義 1.4.2 の直後。極大イデアルの定義は、後に p33 で登場する。
- # p58, 命題 1.11.12 の証明。帰納法はおそらく n に関する帰納法。おそらく m \ge n を仮定している。(そう仮定しなくても帰納法は進行できるが、その場合、証明の4行目の「元である」のところで、「元であり、特に m\ge 1 である」と書いておきたい。)また、帰納法の初期ステップ n=1 (あるいは、n=0)のときの記述が implicit である。
- # p63, l2. 「以下、この節の終わりまで、A を一意分解環とする」とあるが、例1.11.41 ではA=\mathbb{Z}[\sqrt{-5}] が一意分解環でないことを証明しているので、つごうが悪い。一番いいのは、p66, line 7 から新しい節にしてしまうことであるが、これは目次や演習問題の番号なども変更する必要があり、改訂版では対応しきれないであろう。実際は、「p66, line 6 までは、A を一意分解環とする」とするのが現実的な対応。
- # p63, 補題1.11.31の冒頭。f(x) \neq 0 としておいた方がよい。
- # p77, 問題1.3.1(2). +\cdots+ のように前後に2項演算子を配置したい。
- # p79, 問題1.6.2. \mathfrak{m}_2 は極大イデアルではないので、\mathfrak{m} という記号に違和感あり。
- # p81, 問題1.9.1. \rightarrow は \mapsto. 3カ所。
- # p147, 例2.13.12 のweb にあるコメント『命題2.10.7 の無限直和の場合を使う(演習問題2.10.6).
ほとんど命題2.10.7と同じようにできるのだが、これを使わないとR[x,y]\otimes_RC \cong C[x,y] が正確にはいえない』と書かれているが、そうだろうか?テンソル積の普遍性の誘導するR線形写像
R[x,y]\otimes_RC \ni f(x,y) \otimes c \mapsto c f(x,y) \in C[x,y] が全単射であることを言いたいだろうが、命題2.10.7 でA=R, M=R[x,y], N_1\oplus N_2=C とすると
R[x,y] \otimes_RC \cong R[x,y] \otimes_RR \oplus R[x,y] \otimes_RR\sqrt{-1}
= C[x,y] となることがわかる。
- # p264. 補題4.17.3 の証明。ここでは \exp という超越関数が使われているが、それを避ける別証明がある。別証明:「任意の正の実数の平方根が存在する」ということを使えば、ここで証明したい「任意の複素数の平方根が存在する」ことが証明できる。実際、a=u+v\sqrt{-1} と(u,vは実数)としたとき、x=\sqrt{(u+\sqrt{u^2+v^2})/2}, y=v/(2x) と定めれば、(x+y\sqrt{-1})^2=a となる。証明終わり。コメント:なお、ここで用いた「任意の正の実数の平方根が存在する」は、関数x^2 の連続性と中間値の定理を使って証明されるので、(補題4.17.2 の上の行にあるように)この補題は「解析的な考察」の一環であるといってよかろう。別証明のポイントは、「複素で平方根」と「正の実数で平方根」の間は、四則演算でつなげられるということ。
- # p273, 1.2.5 の解答例。例えば n=2 のとき、
I の2つの元 p,q に対して、
写像 \phi_1, \phi_2 : \{ 1,2 \} \rightarrow I を
\phi_1(1)=p, \phi_1(2)=q,
\phi_2(1)=q, \phi_2(2)=p と定める。
a_1(1,0) = 5, a_2(0,1)=5 と定め、a_1, a_2 のその他の値は0 と定める。
(a_1,\phi_1), (a_2,\phi_2) \in X_2 は異なる元であるが、
(a_1, \phi_1) および (a_2, \phi_2) の定める多項式はどちらも
5 x_p であると考えたい。従って、X_2 に何らかの同一視(同値関係)を導入してそれで割る操作が必要になると考えられる。この改善の必要性は、無限変数になる前の2変数多項式環のレベルで既に生じている。
- # p274, 1.3.9 のヒント。ad-bc=0 の時は、
単射でないことを示す、という方針はどうだろうか。
実際、
\alpha x + \beta y の像が零になるような(\alpha,\beta) \neq (0,0) の存在を
証明することができる。そして、その解法だと、条件
ad-bc\neq 0 が関係してくる理由も納得しやすい。