服部哲弥「難問克服ルベーグ積分」東京図書
2021年3月12日の時点で、著者自身のページ に反映されているものには * 印を付けました。
誤植
- *p21(2) の3行目。[0.2] は [0,2]。ピリオドはカンマ。
- *p48, line -5 のdisplayed formula の真ん中の項、閉じ括弧が一つ足りない。
- *p68, line -2. 後半にある2つの の字体が小さい。
- *p82, 問題39(2) の式(3.1) d(\omega'.\omega) は d(\omega', \omega). ピリオドはカンマ。
- *p102, 下から3行目と2行目の三箇所の P は\mu かな?
- *p142, 問題67, 1行目。「I_1 \neq I_2 の時は」 I_1 \cap I_2 = \emptyset.
- *p142, 問題67, 1行目。「を」満たす
- *p195(2) の6行目から7行目。「K \geq K_i ならば、\int...があるので」のところ。K がういてしまっている。「K \geq K_i ならば」を削除するか、あるいは積分の積分範囲 |f_i| \geq K_i g を |f_i| \geq K g とするか、などの変更が必要。
- *p196, 問題92(1) line 1. \iota_K: \mathbb{R} \to\mathbb{R} の2つ目の \mathbb{R} が抜けている。
- *p197, line -8. 最初の等号の直前、絶対値記号が抜けている。
- *p197, line -2. 第1項と第3項が同じだが、どちらかの被積分関数 |f-\iota_K \circ f| は |f_n-\iota_K \circ f_n|
- *p206, 問題97, 2行目。\displaystyle \int_{\mathbb{R}} f_n(x) dx が2つある?
- *p234, 解説2行目。それらとを。
内容的なコメント、補足
- *p21(2)の後半。その解答は「コンパクト集合からHausdorff 空間への全単射連続写像は同相写像である」という、一般位相空間論で頻用の定理の証明そのものであることを、「解説」で触れておくと、その定理を既習でも未習でも情報になって親切だろうと感じた。
- *p28, 問題14の4行目。コア \mathcal{C} の定義には \pi \in \Pi は無関係なので、「\pi \in \Pi に対して」の場所を\mathcal{C} の定義よりも後ろに置いた方が読みやすいと思う。
- *問題79には問題27への言及がある。問題27の解説でも問題79に言及してもいいかな。
- *p100, 問題47。まず、他の問題と同様、(1)(2)(3) の3つに分けると問題も解答も読みやすいと思う。解答にあまり明示的に書かれていないようだが、\mathcal{I}_2 \subset \mathcal{I}_1 である。したがって、(2)のi=1の場合から(2)のi=2の場合を導ける。(3)のi=2の場合から(3)のi=1 の場合を導ける。解答では「同様に」「変わらない」という用語でそれらを内容的には盛り込んでいる。 以下でそれぞれを少し詳しく述べる。
- *p100, 問題47(2).
m: \mathcal{I}_2 \to \mathbb{R} は m: \mathcal{I}_1 \to \mathbb{R} の定義域を\mathcal{I}_2 へ制限したものであるから、i=1 の場合の(2)から i=2 の場合の (2) が導かれる。
- *p100, 問題47(3).
\mathcal{I}_2 に対して証明すれば、\mathcal{I}_1 は自動的に成立する。すなわち、\sigma[\mathcal{I}_2] \subset \sigma[\mathcal{I}_1] \subset 2^{\mathbb{N}} と、\sigma[\mathcal{I}_2]=2^{\mathbb{N}}から \sigma[\mathcal{I}_1]=2^{\mathbb{N}} が従う。
- *p150, 問題71(1) 明示的には書かれていないものの、関数 g= \sum_{n=0}^\infty a_{n+1} \mathbf{1}_{A_n\cap A_{n+1}^c} を考えていることになる。(なお、この書式は (3) の解答のline2-3 に書かれている f を動機としている。) この時、|f|\leq g がわかる。一方、アーベル総和法(p151, line 1-3) によって \Vert g \Vert_{L^1} がピッタリ計算できる。
- *p151(3) いきなり答えが書いてあるが、「解説」に f=\sum_{n=1}^\infty b_n \mathbf{1}_{A_n \cap A_{n+1}^c} という形で関数を作る、と書いて、係数 b_n の満たすべき条件を絞りこんでいくと方針がわかりやすいと思う。この時、\displaystyle\int_\Omega |f| d \mu = \sum_{n=1}^\infty b_n (\mu(A_n) - \mu(A_{n+1})) = b_1 \mu(A_1) + \sum_{n=0}^\infty (b_{n}-b_{n-1}) \mu(A_{n}) である[ただし、\displaystyle\lim_{n\to\infty} b_n \mu(A_{n+1})=0 を仮定した。]。一方で、b_{n+1} \gt a_{n+1}\gt b_n と選んであれば、\{ \omega \in \Omega \mid |f(\omega)| \geq a_{n+1} \}= A_{n+1} となるので、\displaystyle \sum_{n=0}^\infty(a_{n+1}-a_n) \mu(\{ \omega \in \Omega \mid |f(\omega)| \geq a_{n+1} \}) = \sum_{n=0}^\infty(a_{n+1}-a_n) \mu(A_{n+1})=\sum_{n=1}^\infty (a_n-a_{n-1}) \mu(A_n) となる。それで、ここでは \mu(A_{n}) = 1/(n^3 n!), b_n=(n+2)!, a_{n}=b_{n-1}+1 と選んでいるので、(b_{n}-b_{n-1}) \mu(A_{n})=O(1/n), (a_{n}-a_{n-1}) \mu(A_{n})=O(1/n^2) となっている。
- *p162, 問題76(2). 1行目の仮定「有理数」「すべて」という条件は使わない。q_n は有理数でなくても良い。(著者からのコメントが著者のwebpage にあり。)
- p162, 問題76(2)'. 実数列 a_n \in \mathbb{R}, n \in \mathbb{N}, を各項とする級数が絶対収束するとする。また、区間 [0,1] 上の可積分関数列 f_n で、\int_0^1 |f_n| dx \leq 4 を満たすとする。この時、関数項級数 \displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n f_n は [0,1] のほとんどすべての点で絶対収束することを示せ。という問題が成り立つ。(2) の場合は f_n(x) = 1/\sqrt{|x-q_n|} とすると、\displaystyle \int_0^1 f_n(x) dx \leq \int_{-1+q_n}^{1+q_n} f_n(x) dx = \int_{-1}^1 \frac{dx}{\sqrt{|x|}} = 4.
- p168, 問題79(1)。問題70の公式を使う別解もあるのではないだろうか?
- *p186, 問題87(2). y\geq 0 の時に、(y\wedge1)/2 \leq y/(1+y) \leq (y \wedge 1) なので、(2) の2行目の条件は \displaystyle \lim_{n \to +\infty} \int_\Omega (|f_n-f| \wedge 1) d\mu=0 と同値である。この条件の方が測度収束と直接つながるように思う。なお、y/(1+y) の形の式は問題90で取り扱われていて、(y\wedge 1) の考え方は問題92(1) で再登場している。
- p191(3) の前半。丁寧に \epsilon を使って議論しているが、5行目の d(f,g) \leq d(f,f_n) + d(f_n,g) で、極限 \displaystyle\lim_{n\to+\infty} を考えれば、仮定より右辺は 0+0 となるので d(f,g)=0 が得られる。
- *p192, line -2. a_{1+n} と a_{n+1} が両方出てくるが、同じ表記に統一した方が見やすい。
- p194(1) 少し整理しておくと、\displaystyle \Vert f \Vert_{L^1(F)} \leq \int_{|f|\geq K g} |f|d\mu+K \Vert g \Vert_{L^1(F)} がp194-195 の議論で示されていて、したがって、\displaystyle \sup_{f \in A} \Vert f \Vert_{L^1(F)} \leq \sup_{f \in A} \int_{|f|\geq K g} |f|d\mu+K \Vert g \Vert_{L^1(F)}. この評価式で、まず K を大きくとって右辺の第1項を \epsilon/2 で上から評価し、次に \delta を小さくとって第2項も \epsilon/2 で上から評価する、という作戦。
- *p197(2)の前半、1行目から6行目の別解。(1) を使うと、いいのでは?
仮定の2つ目は\iota_K\circ f_n = f_n を意味する。そして、仮定の1つ目「f_n が f に測度収束」と(1)の結論「\iota_K \circ f_n が \iota\circ f に測度収束」を合わせてみると、同じ数列 f_n が f にも \iota_K \circ f にも測度収束する、という状況になっている。極限の一意性より \iota_K \circ f =f が得られる。