- 問題1。定数 $c\gt 1$ に対して、$\displaystyle \lim_{n\to\infty} \sqrt[n]{c}=1$ を示せ。(p51, 例2.13(ii))
- 解答?:$a_n = \sqrt[n]{c}$と置く。
$\alpha=\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_n$ と置く。
$\displaystyle a_{2n}^2 = (c^{\tfrac1{2n}})^2 =c^{\tfrac1n} = a_n$ である。
両辺の極限をとって、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_{2n}^2 = \lim_{n\to\infty} a_n$ となる。
左辺は、定理2.8(2.37) より、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_{2n}^2 = (\lim_{n\to\infty} a_{2n})^2 = \alpha^2$ となる。
従って、$\alpha^2=\alpha$ となる。
従って、$\alpha=0$ または $\alpha=1$ である。
$a_n \ge 1$ なので、定理2.9(ii) より $\alpha \ge 1$ である。
従って、$\alpha=1$ が示せた。証明終わり。
- (初級)この解答のどこが不備でしょうか。
- (中級)この解答の趣旨に沿って直すにはどこを補えば良いでしょうか?
- 問題2。定数 $0\lt c \lt 1$ に対して、$\displaystyle \lim_{n\to\infty} c^n=0$ を示せ。(p51, 例2.12(ii))
- 解答?:$a_n = c^n$ と置く。
$\alpha=\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_n$ と置く。
$a_{n+1} = c a_n$ である。
両辺の極限をとって、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_{n+1} = \lim_{n\to\infty} c a_n = c \lim_{n\to\infty} a_n$.
ここで最後の等号では、定理2.8(2.38)を用いた。
従って、$\alpha=c \alpha$.
$c \neq 1$ なので、$\alpha=0$.
- (初級)この解答のどこが不備でしょうか。
- (中級)この解答の趣旨に沿って直すにはどこを補えば良いでしょうか?
- 問題3。$\displaystyle \lim_{n\to\infty} \sqrt[n]{n}=1$ を示せ。(p51, 例2.13(i))
- 解答?:$a_n = \sqrt[n]{n}$と置く。
$\alpha=\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_n$ と置く。
$\displaystyle a_{2n}^2 = ((2n)^{\tfrac1{2n}})^2 =(2n)^{\tfrac1n} = 2^{\tfrac1n} n^{\tfrac1n} = 2^{\tfrac1n} a_n$ である。
両辺の極限をとって、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_{2n}^2 = \lim_{n\to\infty} 2^{\tfrac1n} a_n$ となる。
左辺は、定理2.8(2.37) より、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_{2n}^2 = (\lim_{n\to\infty} a_{2n})^2 = \alpha^2$ となる。
右辺は、定理2.8(2.37) と、上の問1より、
$\displaystyle \lim_{n\to\infty}2^{\tfrac1n} a_n =\lim_{n\to\infty}2^{\tfrac1n} \lim_{n\to\infty} a_n
= 1 \times \alpha=\alpha$ となる。
従って、$\alpha^2=\alpha$ となる。
従って、$\alpha=0$ または $\alpha=1$ である。
$a_n \ge 1$ なので、定理2.9(ii) より $\alpha \ge 1$ である。
従って、$\alpha=1$ が示せた。証明終わり。
- (初級)[問1の結果を自由に使って良いとしても] この解答のどこが不備でしょうか。
- (中級)この解答の趣旨に沿って直すにはどこを補えば良いでしょうか?
- 問題4。 $I=\displaystyle\int_{-\infty}^\infty \frac{dx}{x^4+4}$ を求めよ。(チャート式微積分 重要例題(演習編)52)
- 解答? $I=\displaystyle \frac18 \int_{-\infty}^\infty \left( \frac{x+2}{x^2+2x+2} - \frac{x-2}{x^2-2x+2} \right) dx$
$= \displaystyle \frac18 \int_{-\infty}^\infty \frac{x+2}{x^2+2x+2} dx - \frac18 \int_{-\infty}^\infty \frac{x-2}{x^2-2x+2} dx$ $= \displaystyle \frac18 \int_{-\infty}^\infty \frac{x+1}{x^2+1} dx - \frac18 \int_{-\infty}^\infty \frac{x-1}{x^2+1} dx$ $=\displaystyle \frac14 \int_{-\infty}^\infty \frac{1}{x^2+1} dx=\frac14 \int_{-\pi/2}^{\pi/2} d\theta = \frac{\pi}{4}$.
- (初級)この解答のどこが不備でしょうか。
- (中級)この解答の趣旨に沿って直すには何を補えば良いでしょうか?
- 問題5。$[-a,a]$ で定義された奇関数$f$ が逆関数 $f^{-1}$ を持てば、$f^{-1}$ も奇関数である。
(教科書、命題5.2, p163。)
- 証明。$I=[-a,a]$ と書き、$f$ の像を $J=f(I)=f([-a,a])$ と書く。$J$ も$-1$ 倍に関して対称である。すなわち、$y \in J$ ならば $-y \in J$ である(
なぜなら $x \in I$ が存在して $y=f(x)$ なので $-y=-f(x)=f(-x) \in f(I)=J$)。
この時、上で示した $-y=f(-x)$ の両辺を $f^{-1}$ で移すと、$f^{-1}(-y) = -x =- f^{-1}(y)$ となるので、$f^{-1}$ は奇関数である。証明終わり。
- 補足:連続性や狭義単調増加性はこの述べ方ならば不要である。$I$ が区間であることも必要なくて、性質「$x \in I$ ならば $-x \in I$」だけがあれば十分である。
- 問題6。$f(x)$ は $[0,\infty)$ で連続、$(0,\infty)$ で微分可能とする。$f(0)=0$, $\displaystyle\lim_{x\to\infty} f(x)=0$ とする。この時、$f'(c)=0$ となる $c\gt 0$ が存在することを示せ。
- 解答: $x=g(t)=t/(1-t)$ という関数を考える。$h=f\circ g$ とする。$h$ が$[0,1]$上の連続関数であることを示す。すると $h$ にロルの定理が使えて、$0\lt d\lt 1$ が存在して $h'(d)=0$ となる。$d=g(c)$ となるように $c$ を決める $c=d/(1+d)$ と、$f'(c)=0$ である。
- 自然数の集合 $\mathbb{N}=\{1,2,\ldots\}$ の冪集合 $\mathcal{P}(\mathbb{N})$ から実数直線上の半開区間 [0,1) への全単射を具体的に構成する。(「自然数の冪集合の濃度が実数の濃度と一致する」ことを、ベルンシュタインの定理を明示的には使わずに、証明できる。)
補助的に $f: \mathcal{P}(\mathbb{N}) \to [0,1]$ を $f(A) = \displaystyle\sum_{n \in A} 2^{-n}$ で定める。目的の $g:\mathcal{P}(\mathbb{N}) \to [0,1)$ は次のように3通りに分けて定義する。(i) $A$ が有限集合の時には $g(A)=f(A)/2$。(ii) $A$ の補集合 $A^c$ が有限集合の場合は $g(A)=(1+f(A^c))/2$. (ii) その他の時は $g(A)=f(A)$.
この時、$g$ は全単射である。なお、(i)(ii) の場合は $g(A)$ は$2$の冪を分母とする有理数で表される。(iii) の場合は $g(A)$ は $2$の冪を分母とする有理数で表されない。
- 2の3乗根が1.26 ぐらいであることの計算の概略。$(5/4)^3=(10/8)^3=10^3/2^9=1000/512 \fallingdotseq 1000/500=2$ なので、2の3乗根が大体 1.25 ぐらいであることがわかる。そこで、$(5/4+\varepsilon)^3=2$ とする。先ほどと同じ変形を使って、$(1+\frac 45 \varepsilon)^3=2\times (4/5)^3=2^{10}/10^3=1024/1000=1.024$ となる。左辺を $\varepsilon$ に関して原点でテーラー展開して1次式で近似すると、$1.024=(1+\frac 45 \varepsilon)^3 \fallingdotseq 1+3\times\frac45 \varepsilon=1+2.4 \varepsilon$ となる。これを解いて、$\varepsilon \fallingdotseq 0.01$ となり、$\sqrt[3]{2} = 1.25 + \varepsilon
\fallingdotseq 1.26$.
実際の誤差は $1.26-\sqrt[3]{2}\fallingdotseq 8\times 10^{-5}$ ぐらいなので、近似はかなり良いです。
- 同じようなプロジェクトのために素材を置いておきます。
$\sqrt[5]{109} = 2.555555397...$,
$109 \times 2^{11} \times 99 + 2^5= 221\times 10^5$,
$5/2\times \sqrt[5]{221/198}=2.5555561...$,
$\displaystyle\lim_{x\to 1/45} 1+5x(1+x)/(1-x)=221/198$,
$1+5x(1+x)/(1-x)-(1+x)^5 =x^4(5+4x+x^2)/(1-x)$,
$5/2\times \displaystyle\lim_{x\to 1/45} (1+x)=23/9\fallingdotseq 2.555555...$
- $\sqrt[4]{10.5}=1.800103.....\fallingdotseq 1.8 = 9/5$.
- $\sqrt{5\sqrt{6}}=3.49964...\fallingdotseq 3.5=7/2$.
- $\sqrt[10]{173/3} = 1.5000042... \fallingdotseq 1.5 = 3/2$.
- これらは good ABCのリスト から、それぞれ、quality が 1.6299, 1.5679, 1.4557, 1.4127 のものを拾っています。なお、最初の $\sqrt[3]{2}$ の近似$5/4$ は quality $=1.4266$ に対応しています。なお、現在の順位はそれぞれ、1位、5位、37位、168位、115位ですが、順位は下がることがあります。
Last-modified: 2021-08-04 (水) 10:51:40