tsujii/lectures/2010/Biseki(Math)
微分積分学(2010年度,数学科向け,後期)の教科書の問題についてのページ†
質問等についてはこちらで受け付けます.(試験運用中)†
章番号やページ数は後期の教科書「続・解析入門」のものとします.
- 第1章 ベクトル
- この章は講義では取り上げられていませんが,読んでよく理解しておいてください.内容的には難しくありません.第5節までの内容は高校で習っているはずです.第6節の空間の中の平面の方程式については最近の高校の教科書には載っていないようですが,基本的には高校レベルです.第7節のベクトル積については数学よりも力学や電磁気学などの物理学でよく使われる概念です.第6節と第7節の問題を中心にやってみてください.特にやっておいて欲しい問題とそのコメントを書いておきます.
- 第6節
- 上で書いたように空間における平面の方程式やその取り扱いについては今の高校の教程で省かれている部分なので,これまであまりやったことがない人が多いと思います.第6節をよく読んで節末の問題をやってみてください. 7,8,9は基本です. 10は4次元なのでギョッとするかもしれませんが計算方法は同じです. 16~20は仕上げとしてよい問題です.
- 第7節
- ベクトル積は昔(?)は物理の古典力学や電磁気学でかなりやらされたので数学であまり取り上げられなくても基本的知識になっていましたが最近はどうなのでしょうか?少なくとも定義と基本性質は押さえておきたいところです.とりあえず1~9の計算問題を一通りやりましょう.
- 第2章 ベクトルの微分
- この章は1次元からn次元への関数(写像)の微分について書かれています.一つのパラメータ(例えば時間)に依存して,ベクトルや行列が変化してゆく状態を考えることはよくあります.例えば古典力学で物体の運動を考えるのはとの典型例です.(幾何学で曲線を考えるのも同様です.)
- 第1節
- ここは微分についての基本的な計算方法が書かれています.節末の問題11,13,14は基本的で大事な問題なので必ずやってみること.16~19も落ち着いて考えれば難しくない.24は単なる計算でできますが,この曲線がどのような曲線かを考えると直観的にも明らかなはずです.25はこの節の議論の総まとめとして良い問題なので,最後に挑戦してください.
- 第2節
- ここは曲線の長さについての「おまけ」です.曲線の長さは公式通りに計算すればいいのですが,その計算がかなり難しくなることがあります.暇なときにやってみましょう.
- 第3章 多変数の関数
- この章は多変数の関数の微分(偏微分,全微分)への入門です.まず定義を良く理解して計算ができるようにしましょう.
- 第1節
- ここは多変数の関数をグラフや等高線を描くことでその概略をとらえることを試みています.講義中にも強調しましたが,多変数の関数の微積分についてはある程度幾何学的な直観がないと単なる計算になって面白みがなくなります.節末の練習問題も漠然としていてやりにくい(orやる気がわきにくい)と思いますが少なくともいくつか丁寧にやってみて多変数の関数のイメージをつかんでください.
- 第2節
- この節は偏微分についてです.偏微分の概念や計算方法は覚えてしまえば簡単なのでこの機会に正確にできるようにしておきましょう.節末の問題はいずれも計算問題で落ち着いてやれば難しくはないはずです.とりあえずこれぐらいできれば十分です.
- 第3節
- この節は全微分についてですが,概念を理解することが大事です.偏微分と全微分の関係についてよく理解しておいてください.(全微分はあらゆる方向について関数が1次関数でよく近似できるということで,偏微分よりも強い概念です.ただし,偏導関数の連続性を仮定すると全微分可能性が従います.)節末の問題の2~4は意味が分かりにくいかもしれませんが,線形の関数の場合は定義から明らかに全微分可能なので,その場合の偏微分がどのようになるかを自分で考えてみるということです.(ですから講義をきいていればほぼ自明に思えるはずです.)5も講義中に述べたことですが,自分の言葉で説明できるようにしましょう.
- 第4節
- この節は2階以上反復して偏微分するということについて述べています.大事なのは定理3で,2次以上の偏導関数を考えるときに,微分の順序は基本的に関わらず同じ関数になります.その点以外は順序よく計算するというだけです.節末の問題の1~10はいくつか選んでやってみましょう.また,11~18はよい計算問題なので正確に計算する練習をしてください.19~21は2年次以降でならう数学から題材をとっていますが,計算自体は難しくないはずなのでやってみましょう.(ラプラス方程式は解析,幾何で非常に重要な方程式です.)
- 第4章 合成微分律と勾配ベクトル
- この章は多変数の関数の微分(偏微分,全微分)についてより進んだ内容について述べています.定理の内容や計算を単なる「式」で終わらせずに,常に幾何学的に解釈するようにしましょう.
- 第1節
- ここは多変数の関数の合成微分律について,最も単純な場合を述べています.後でより次元の高い場合についての一般化が出てきますが,まずは単純な場合によく理解しておきましょう.練習問題の1と2はとりあえず定理を使ってみるということです.3は条件を成分を使って表せば易しいはず.4(b)はまず仮定からf(0)=0であることに注意して(a)で示したことを用いる.5と6は同次式についてのよくある問題です.ヒントがついています.7〜9は偏微分の復習.
- 第2節
- この節は曲面の接平面についてです.79ページの曲面の定義はちょっと違和感があると思います.これは「陰関数定理」と呼ばれる定理を習うと意味がよくわかります.(この点については授業で解説するつもりです.)いったんその部分を認めてしまえば,計算等は難しくないはずですのでそのようにしてください.練習問題の1と2は計算問題です.とりあえずいくつかやってみましょう.問題3は下の注意を読んでからやってください.(交わりの曲線を求めるのは問題を難しくします.)4では曲面はあまり関係ないのでちょっと変な問題ですが,難しくはないはずです.6番以降はところどころちょっと難しい問題が入っています.一つの問題は与えられた曲面が z=f(x,y) という形に書かれていないことです.そのような場合には x, y, z の役割を入れ替えたり,式変形したりして z=f(x,y)という形の場合に帰着します.(より一般的な場合は後で陰関数定理と呼ばれる定理で取り扱います.)12番が自分でできればこの節の議論については卒業です.
- 第3節
- この節は勾配ベクトルについて説明しています.講義では第3章の部分で既に取り扱いました.練習問題も多くや易しいので計算練習のつもりでやってください.ただし,10番は後でラグランジュの未定乗数法と呼ばれる方法を問題にしています.後で定理として出てくる内容ですが自分なりに考えてみると後で理解が容易になります.(もちろん今の時点でできる必要はありません.)
- 第4節
- この節は偏微分の計算についての応用です.この節の内容が無理なく理解できれば偏微分の基礎についてはある程度できたと思ってよいでしょう.練習問題1と2は計算問題です.習熟度に応じていくつか練習してみること.3〜9は一組の問題でこの順番でやってもいいですが,まず9番を自分で考えてみるのを進めます.9番の内容は勾配ベクトルの意味を考えると直観的にはそれほど難しいものではありません.しかし,実際に「証明」しようとすると困難を感じるはずです.それから3〜8をやってみると,直観的に明らかなことをどのように厳密に示すか,(また,それがどれほど手間がかかるか)がよくわかると思います.11〜13はおまけの問題ですが,多分物理学(力学や電磁気学)では出てくることと思います.
- 第5節
- この節は偏微分の計算についての仕上げのような節です.合成関数の偏微分を考える時に多くの変数が出てくるので,混乱しがちなのでその点について注意が書いてあります.要するに「変数の関係によく注意して微分する」ということですが,練習問題を含めて自分の理解をよくチェックしてください.
- 第11章 最大点および最小点
- この章は多変数関数の最大と最小を求めるという問題について考察しています.応用を含めて非常に重要な問題です.
- 第1節
- この節は難しいことはほとんどないはずです.節末の練習もやることは決まっているので特にコメントはありません.いくつか試しにやってみて出来ればそれで o.k. です.
- 第2節
- この節は定理2「有界閉集合上の連続関数は最大値を持つ.」の使い方についてです.この定理はちょっと抽象的なので慣れるまでは意味も使い方もわかりづらいので,例題や練習問題をよく見てから取り組んでみたてください.節末の問題は,基本的には易しいですが,「最大点,最小点は存在するか?」という点から始めて丁寧にやってみてください.
- 関数の定義域が有界閉集合である場合には最大点は存在するので,それが内部にあるか境界上にあるかが問題です.
- 関数の定義域が有界閉集合でない場合には問題はもう少し難しくなって,まず最大最小が存在するかどうかから考察する必要があります.例えば領域が有界でない場合には無限に向かうときに関数の値がどうなるか.閉集合でない場合には境界点の近くで関数の値がどうなるかを考えます.後は教科書の例2を参照.
- 第3節
- この節はラグランジュの未定乗数法についてです.定理自体の意味をまずよく理解することから始めて下さい.定理をよく理解すれば演習問題のほとんどはそれほど難しくないはずです.ほとんどの問題で定理の仮定である grad f が 0でないという条件は満たされていますが,それは必ず確かめる必要があります.また,条件が定める集合が有界かどうかも常に気をつける必要があります.
- 3,4 は条件付き極値の問題ではないです.ただ,X の範囲が有限ではないので前節の例で見たような議論が必要にないます.
- 8 は条件が定める集合が線分になるので,線分の端点について別に議論する必要があります.
- 9, 10, 11,15,17は条件が定める集合が有界ではないので,注意が必要.
- 12, 19はちょっととまどうかもしれません.円の内部と円周と別に考えると良いでしょう.
- 21-24は具体的な応用問題で,変数が負でないという条件が暗黙に課されているのでその点だけ注意すれば易しいはずです.
- 第12章 高次偏導関数
- この章は多次元の場合の高次の偏導関数を導入し,テイラーの定理とその応用を与えることが目標です.1次元の場合と比べることで,何をやっているかは分かるはずです.講義では順序を変えて話したので,簡単に節をおって解説しておきます.
- 第1節
- この節はテイラーの定理の2次までの項を考えています.後でより高次の項まで考えますが,基本的には1次と2次の項が重要で3次以上が問題になることは例外的です.ですから2次までの項をまず考えてみようと言うのはよいことで,著者なりの配慮です.節末の問題は必ず自信をもってやれるまで練習すること.
- 第2,3節
- この2節はテイラーの定理の2次までの項で,関数の臨界点 (勾配ベクトルが0になる点)で極大か極小化を判定する条件を与えています.(当然ながら講義で挙げた条件と同じです.)節末の問題は基本的に計算問題なのでコメントはありませんが,十分練習しておくこと.p 288の7と8が迷わずにできれば o.k です.この辺の問題はどの教科書でも扱われているのでもしもう少し問題をやろうという人は図書館で見つけるとよいでしょう.
- 第4,5節
- この2節は高次のテイラー展開について述べています.第4節では微分作用子を導入しています.微分作用子については節末の問題をいくつかやって計算の仕方を理解すれば o.k です.節末に問題がたくさんありますが,こんなにたくさんやる必要はないです.第5節の節末の問題はちょっと難しいかもしれないけれどもやってみてください.(ヒントは与えられた条件の式を t で微分するとどうなるか? です.)
- 第16章 多変数関数への応用
- この節の内容は2次元以上の空間の間の関数(写像)についてです.このような写像の取り扱いについては現在の高校での教育課程の問題からか,多くの学生が不得意です.そういう意味で一番難しいところと言えます.講義でもできるだけ詳しく説明したつもりですが,どうでしょうか?(最近の講義に欠席が目立つので私自身はちょっとがっかりしています.欠席した人は是非十分時間をとって第16章の内容をよく理解してください.)
- 第1~3節
- この節は多変数の写像の微分が自然な意味で行列になることを説明しています.つまり,多変数の微分とはある点の近傍で写像を(定数項を無視して)線形写像で近似することに他ならないわけです.このあたりから,微分積分と線形代数が融合して一つのパラダイムを作ることになります.単に「難しい」ではなく,「面白いけど難しい」と思ってくれればいいのですが.とりあえず節末の計算問題は必修です.(p357の問題7の答えは第2列と第3列が入れ替わっているようです.)合成関数の微分についても練習問題が欲しいところですが,残念ながらありません.一つ二つ簡単な問題を自分で作って計算してみてください.
- 第4節
- ここは逆写像定理について述べています.定理を認めれば節末の計算問題は易しいはずです.ここは定理の内容について良く思いを巡らすことが大事です.例えば,2次元から2次元への写像で,最初に自分で「この部分で平面を折り畳んでこういう風に写像してみよう」と(あまり難しくしないように)考えてそれに合わせて実際に写像を自分で定義してみましょう.そしてそれを微分して,ちゃんと折り畳んだ部分でヤコビ行列式が0になることを確かめる.ということをやってみてください.
- 第5節
- ここは陰関数定理について述べています.これも前節に引き続いて難しい内容です.まずは定理の内容をよく理解して,その上で節末の計算問題をやってください.どれも機械的にできるはずです.(ですからあまりたくさんやらなくてもいいです.)問題の7と8について,もし2階の(偏)導関数を求めよと言われたらどのようにするかを考えてみてください.
中間テストの練習問題の解説.†
全体として,証明問題はなしで,あまり数学科らしくない問題です.
[1] は偏微分の計算や合成関数の微分の計算について,十分慣れているかどうかを試す問題です.(ただ,実際には計算量が多すぎるかもしれません.)基本的に計算の仕方があっていれば o.k です.こういった計算はできないと今後の議論が進まないところなので1年生のうちにしっかりと「自信をもって」実行できるようにしましょう.
[2] は2変数関数の極値を求めて,極大,極小の判定を行うものです.(a) grad f = 0 という条件から極値の候補点を見つける.(b) それらの点で2階の微分を計算をして,テーラー展開の2次の部分として現れる2次形式を求める.(c) その情報をもとに極小,極大(またはいずれでもない)を判定する.という3段階の議論がスムーズに運用できるかどうかです.これも基本的な問題で,他の理系の学科でもできる問題ですから,数学科は「つまらない問題だなー」といいながらやるぐらいの余裕が欲しいところです.
[3] はある意味で[2]とほぼ同じ問題ですが,多少応用的です.R=(x,y)とおいたときに問題の量を x, y の関数として表せば,[2]と同じようにして極値点を求めることができます.もちろん,極小点であっても最小であることを言うには,もう少し議論が必要です,ここがポイントと言えばポイントです.(わからない人は教科書の「最大点,最小点」の所を見直してください.)なお,この問題は教科書の節末問題の一つです.教科書の節末問題は必ず目を通して,自分でできるかどうかを確認しておくこと.(計算問題を全てやる必要はない.)もちろん,本番では条件付き極値の問題も出す可能性があります.
[4] は計算問題です.計算を間違わないように.問題とは関係ないですが,(2) の結果がある程度直観的に理解できることが大事です.
[5] は陰関数の定理です.この場合は x=g(y,z) という関数の陰関数を考えているので,講義や教科書の場合とちょっと設定が違いますが,講義中に説明したように,要は変数の順番を入れ替えるだけです.陰関数定理や逆写像定理の使い方についてはまだ慣れないことが多いと思います.1月の講義では演習問題風にして再度取り上げますが,まずは自分でいろいろと考えてみてください.
なお,期末テストの範囲は今回と同じですが,中間テストの出来に応じてもう少し応用的な問題や証明問題を入れたいと思っています.
中間テストの講評.†
採点が終わりました.(ふーっ)良くできている答案にはうれしくなりますし,そうでない答案にがっかりすることも多いです.全体としては出来は良くないので後者が多いのですが,これから期末試験までの間に反省すべき点は反省して,1年間の仕上げをしてください.期待しておきます.冬休み中で見てくれている人がどれぐらいいるかわかりませんが,以下に気がついた点を書いておきます.詳しいことは年始の講義(1月7日)で答案を返却した後でコメントします.
全体的な印象:
(a) 未だに大学受験のための勉強やその思考から抜け出せていない人が多いように思います.君たちが現在習っている数学の科目はいずれも今後の基礎となる重要なものです.これらは「このポイントを押さえておけば十分」とか「単位が取れれば十分」というものではありません.テストの点数そのものも問題ではありません.テストの点を要領よく取る人もいれば,かわいそうなぐらい下手な人もいます.しかし,それは君たちの今後の勉学にはそれほど関係がありません.問題はこれらの科目を通じて,来年以降のより専門的な数学の勉強の基礎ができているかどうかが問題です.君たちが数学というものを大学での学科として選んだ以上,その道のプロになるという意識が必要です.個人個人の能力の問題もありますから,一様にどうこうは言えないですが,全体として意識が低いと思います.今の君たちの取り組みで十分でしょうか?各自自問して欲しいと思います.
(b) 全体として記述が不足しています.たとえば「Aの条件をみたすから陰関数定理よりB」と書くべきところで,A と B だけが書いてある答案が多いです.これらの背景には,(意識しているかどうかは別にして)陰関数定理の内容の理解について自信がないことやきちんと書こうとすると減点されるのではないかという恐れがあります. 実際にこれらの点でいちいち減点するときりがないので,点数としては減点していません.しかし,こういった点を避けていると,テストの点はある程度取れても数学の力は伸びません.自分の考えを出来るだけ丁寧に答案に書いて,間違ったところを見てもらうぐらいの気持ちが必要です.(演習も同様です.)
問題についてのコメント(詳しくは1月7日の講義で解説します.)
[1] (1)落ち着いて考えれば易しいはずですが,意外に間違っている人も多いです.微積分というのは「関数」についての学問です.まずは関数について単に文字の並んだ数式ではなく,その増減の様子を想像してみるというのが第一歩です.
(2),(3)も基本的な微分の問題のはずです.arctan の微分を忘れた人もいるかもしれません.工学部等の理系の他の学科でも知っておくべきことの一つですから覚えておく(または,導ける)ことが必要です.
[2] (1)「極値点になるための必要条件は grad f=0 なので,....」ということを書いて欲しいのですが,1行目から式ばかり並んでいる答案が多いので残念です.それ以外は(計算ミスを除くと)良く出来ていました.もちろんこれぐらいは出来てもらわないと困りますが.
(2) これはテーラー展開についての問題ですが,意外に間違っている人が多かった.私もよく忘れますが(1/2)という係数を忘れた人も多かったのですが,それ以上に公式そのものがあやふやな感じがします.先日工学部の同じ授業でやったテストでは多くの人が正解していたので,数学科でこれではちょっと問題です.
(3) (0,0) が「極大である」または「極値ではない」と書いた人が「ほとんど」でした.もう一度講義ノートを見直してください.この場合は対応する2次形式は「退化」しているので「2次の微分だけでは判定できない」というのが正しい記述です.実際にこの場合は直線x+y=0の上では2次形式は恒等的に0になるので,3次以上の微分が問題になります.x=y とx=-y の断面で考えるとそれぞれで極大,極小になるので全体では「極値ではない」が最終的には正解です.(1,1)と(-1,-1)では極小になりますが,これは教科書にある判定条件で十分です.最大,最小については「有界閉集合上の連続関数は最大・最小を持つ」という定理をどう使うかがポイントです.長くなるので講義時間中に解説します.
[3] 条件付き極値の問題です.(1)はラグランジュの未定乗数法を使うという問題ですが,例えば最初に grad gが0ベクトルでないということを確かめる必要があります.(この点は抜けている人があまりに多くて,今回は減点はしませんでしたが絶対に必要なところです.)
(2)は白紙の答案が多くありました.実際君たちが不得意そうなので出題したのですが,もう少し出来ると思っていました.演習で似た問題をやっているはずですがどうですか?「g=0で定まる集合は有界閉集合」と書いている人が何人かいましたが,よくどういう集合になるかを想像してください.本当にそうなると誤解した人はともかくとして,「こういった問題は有界閉集合が出てくるはず」という感じで当てずっぽうで書いた人はちょっと問題です.
[4] (1) は逆関数定理を知っていれば,単なる計算問題です.この問題についてはほとんどが逆関数定理によって答えがえられている,つまり,逆関数定理が「主役」なわけですから,「逆関数定理よりC^1か逆であることとヤコビ行列式がその点で0になることが同値なので,..」と書くのがごく自然なことと思いますがどうですか?
(2)これは間違いが非常に多くて,正解している人が2,3人だけでした.「どこの点で微分しているのか」よく考えてください.意味を考えればそれほど間違えやすいところではないはずです.
[5](1) これは陰関数定理の直接の応用なのでさすがに正解した人が多いですが,上にも書いたように「陰関数定理より..」と言ったことをきちんと書いて欲しいと思います.
(2) 少なくとも1階微分については定理で与えられているので出来るはずですがどうでしょうか.
midterm(yobi).pdf 792件
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