tsujii/lectures/2010
自主ゼミのテキスト候補†
以下は私(辻井)が思いついたものや同僚の先生に推薦してもらったものです.もちろん他にも良い本はたくさんあると思います.是非図書館にいって,本をいろいろ見てください.リストは今後も追加していきます.
- 高木貞治「初等整数論講義」(佐藤先生推薦)
- 高木貞治「解析概論」
- 小林昭七「曲線と曲面の微分幾何学」
- アールフォルス「複素解析」
- ファインマン「ファインマン物理学シリーズ」(原先生推薦)
- スメール「力学系入門」(辻井 推薦)
- 久我道郎「ガロアの夢-群論と微分方程式」(岩瀬先生推薦)
- 志賀浩二 数学30講シリーズ
- 紹介文:このシリーズには「線形代数」や「微分積分」といった基礎的なものから「群論」や「固有値問題」などのもう少し進んだ話題まであります.いずれも記述が丁寧で,それぞれの分野への入門としてよいと思います.
- 長野 正「曲面の数学=現代数学入門=」(植田先生推薦)
- 紹介文:数学科で教育を受けると厳密性への「こだわり」が生まれる.これ自身は悪いことではないが,逆にこの「こだわり」を一旦持ってしまうと厳密ではない議論をなかなか受け入れられなくなるのが現実だ.他方で,数学研究者が何でもかんでも厳密性にこだわっているかと言えばそうではない.直感的に明らかなときにやればできる形式的な証明を書き下す馬鹿な真似はしない.厳密性とは直感が働かないときに頼りにする羅針盤のようなものなのである.それ故,数学科の学生に厳密な議論を行うトレーニングを強いる.羅針盤無しの航海など考えれないからだ.
この本は,本質を理解するのに不要な厳密な議論をうまく排除して説明するという,言えば簡単,実行は困難きわまりないことを実行した希有な本である.しかもありきたりの「解説本」ではなく,自分自身で計算しながら読まないと何もわからないという「数学書」なのである.この本は厳密な議論をするトレーニングを受けた直後では「こだわり」故に読みにくく,入学したての今が読むのにもっともふさわしい時期だと思う.この本に限らず1年生の今だからという本は他にもある.提供される講義・演習以外に友人と共に数学と格闘することを強く薦める.
- A.ヴェイユ『初学者のための整数論』
(田口先生推薦)邦訳は絶版。Original は
A.Weil, "Number Theory for Beginners" (Springer-Verlag)
- 内容は、
整数論の全く初等的な話から始まつて、
途中 群の言葉とかも少し導入しつつ、また
平方剰余の相互法則とかも証明しつつ、
最後は
「4 で割つて 1 余る素数は二つの平方数の和に書ける」といふ綺麗な定理に辿り着きます。内容的にも面白く、代数の言葉遣ひも或る程度勉強出来るので「現代数学入門」的な要素もあり、それが 120ページぐらいの薄い本に compact に詰まつてゐるので(多少の忍耐力があれば) そんなに息切れせずに読み切れると思ひます。