実数を成分とする二次の行列 &mimetex("\large A=\begin{pmatrix} a&b\\ c&d\end{pmatrix}"); の行列式を考える。
平面ベクトル &mimetex("\mathbf{a} = \begin{pmatrix} a\\c\end{pmatrix}"); と &mimetex("\mathbf{b} = \begin{pmatrix} b\\d\end{pmatrix}"); を二辺とする平行四辺形の面積は &mimetex("S = ||\mathbf{a}||{\cdot}||\mathbf{b}||\sin|\theta|");(&mimetex("\theta"); は &mimetex(\mathbf{a}); から見た &mimetex(\mathbf{b}); の角度 &mimetex("-\pi \lt \theta \le \pi"); で &mimetex("\mathbf{b}"); が &mimetex("\mathbf{a}"); の進行方向向かって左にあるとき正で右にあるとき負となる)で与えられ、
#mimetex("S^2 = ||\mathbf{a}||^2{\cdot}||\mathbf{b}||^2(1-\cos^2\theta) = ||\mathbf{a}||^2{\cdot}||\mathbf{b}||^2-(\mathbf{a},\mathbf{b})^2 = (a^2cb^2)(b^2+d^2)-(ab+cd)^2 = a^2d^2+c^2b^2-2abcd = (ad-bc)^2");
を得る。従って、&mimetex("S = |{ad-bc}|"); である。さらに、実は &mimetex("ad-bc"); の符号は &mimetex("\theta"); の符号に一致(四則演算の連続性に基づく中間値の定理を用いた背理法による証明しか思いつかないので省略する)し、&mimetex(" ||\mathbf{a}||{\cdot}||\mathbf{b}||\sin\theta=ad-bc"); が成立する。すなわち、&mimetex("\mathbf{b}"); が &mimetex("\mathbf{a}"); から見て左側にあり、これらのベクトルが &mimetex("\mathbf{a}"); を底辺とする平行四辺形を形作る時は &mimetex("ad-bc \gt 0"); となり、これが裏返った形になっている時は &mimetex("ad-bc \lt 0"); となる。そういう理由で、実数 &mimetex("ad-bc"); は「符号付き面積を表す」とされている。
さて、実数 &mimetex("ad-bc"); を &mimetex("A"); の行列式と呼び、&mimetex("\det{A}"); で表す。