服部哲弥「難問克服ルベーグ積分」東京図書
誤植
- p21(2) の3行目。[0.2] は [0,2]。ピリオドはカンマ。
- p48, line -5 のdisplayed formula の真ん中の項、閉じ括弧が一つ足りない。
- p68, line -2. 後半にある2つの$\mathcal{I}_A$ の字体が小さい。
- p82, 問題39(2) の式(3.1) $d(\omega'.\omega)$ は $d(\omega', \omega)$. ピリオドはカンマ。
- p102, 下から3行目と2行目の三箇所の P は$\mu$ かな?
- p142, 問題67, 1行目。「$I_1 \neq I_2$ の時は」 $I_1 \cap I_2 = \emptyset$.
- p142, 問題67, 1行目。「を」満たす
- p195(2) の6行目から7行目。「$K \geq K_i$ ならば、$\int...$があるので」のところ。$K$ がういてしまっている。「$K \geq K_i$ ならば」を削除するか、あるいは積分の積分範囲 $|f_i| \geq K_i g$ を $|f_i| \geq K g$ とするか、などの変更が必要。
- p196, 問題92(1) line 1. $\iota_K: \mathbb{R} \to\mathbb{R}$ の2つ目の $\mathbb{R}$ が抜けている。
- p197, line -8. 最初の等号の直前、絶対値記号が抜けている。
- p197, line -2. 第1項と第3項が同じだが、どちらかの被積分関数 $|f-\iota_K \circ f|$ は $|f_n-\iota_K \circ f_n|$
- p206, 問題97, 2行目。$\displaystyle \int_{\mathbb{R}} f_n(x) dx$ が2つある?
- p234, 解説2行目。それらとを。
内容的なコメント、補足
- p21(2)の後半。その解答は「コンパクト集合からHausdorff 空間への全単射連続写像は同相写像である」という、一般位相空間論で頻用の定理の証明そのものであることを、「解説」で触れておくと、その定理を既習でも未習でも情報になって親切だろうと感じた。
- p28, 問題14の4行目。コア $\mathcal{C}$ の定義には $\pi \in \Pi$ は無関係なので、「$\pi \in \Pi$ に対して」の場所を$\mathcal{C}$ の定義よりも後ろに置いた方が読みやすいと思う。
- 問題79には問題27への言及がある。問題27の解説でも問題79に言及してもいいかな。
- p100, 問題47。まず、他の問題と同様、(1)(2)(3) の3つに分けると問題も解答も読みやすいと思う。解答にあまり明示的に書かれていないようだが、$\mathcal{I}_2 \subset \mathcal{I}_1$ である。したがって、(2)の$i=1$の場合から(2)の$i=2$の場合を導ける。(3)の$i=2$の場合から(3)の$i=1$ の場合を導ける。解答では「同様に」「変わらない」という用語でそれらを内容的には盛り込んでいる。 以下でそれぞれを少し詳しく述べる。
- p100, 問題47(2).
$m: \mathcal{I}_2 \to \mathbb{R}$ は $m: \mathcal{I}_1 \to \mathbb{R}$ の定義域を$\mathcal{I}_2$ へ制限したものであるから、$i=1$ の場合の(2)から $i=2$ の場合の (2) が導かれる。
- p100, 問題47(3).
$\mathcal{I}_2$ に対して証明すれば、$\mathcal{I}_1$ は自動的に成立する。すなわち、$\sigma[\mathcal{I}_2] \subset \sigma[\mathcal{I}_1] \subset 2^{\mathbb{N}}$ と、$\sigma[\mathcal{I}_2]=2^{\mathbb{N}}$から $\sigma[\mathcal{I}_1]=2^{\mathbb{N}}$ が従う。
- p150, 問題71(1) 明示的には書かれていないものの、関数 $g= \sum_{n=0}^\infty a_{n+1} \mathbf{1}_{A_n\cap A_{n+1}^c}$ を考えていることになる。(なお、この書式は (3) の解答のline2-3 に書かれている $f$ を動機としている。) この時、$|f|\leq g$ がわかる。一方、アーベル総和法(p151, line 1-3) によって $\Vert g \Vert_{L^1}$ がピッタリ計算できる。
- p151(3) いきなり答えが書いてあるが、「解説」で $f=\sum_{n=1}^\infty b_n \mathbf{1}_{A_n \cap A_{n+1}^c}$ という関数を作る、と書いておくと方針がわかりやすいと思う。この時、$\displaystyle\int_\Omega |f| d \mu = \sum_{n=1}^\infty b_n (\mu(A_n) - \mu(A_{n+1}))$ である。一方で、$b_{n+1} \gt a_{n+1}\gt b_n$ と選んであれば、$\{ \omega \in \Omega \mid |f(\omega)| \geq a_{n+1} \}= A_{n+1}$ となるので、$\displaystyle \sum_{n=0}^\infty(a_{n+1}-a_n) \mu(\{ \omega \in \Omega \mid |f(\omega)| \geq a_{n+1} \}) = \sum_{n=0}^\infty(a_{n+1}-a_n) \mu(A_{n+1})$ となる。
- p162, 問題76(2). 1行目の仮定「有理数」「すべて」という条件は使わない。$q_n$ は有理数でなくても良い。
- p162, 問題76(2)'. 実数列 $a_n \in \mathbb{R}$, $n \in \mathbb{N}$, を各項とする級数が絶対収束するとする。また、区間 $[0,1]$ 上の可積分関数列 $f_n$ で、$\int_0^1 |f_n| dx \leq 4$ を満たすとする。この時、関数項級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n f_n$ は $[0,1]$ のほとんどすべての点で絶対収束することを示せ。という問題が成り立つ。(2) の場合は $f_n(x) = 1/\sqrt{|x-q_n|}$ とすると、$\displaystyle \int_0^1 f_n(x) dx \leq \int_{-1+q_n}^{1+q_n} f_n(x) dx = \int_{-1}^1 \frac{dx}{\sqrt{|x|}} = 4$.
- p168, 問題79(1)。問題70の公式を使う別解もあるのではないだろうか?
- p186, 問題87(2). $y\geq 0$ の時に、$(y\wedge1)/2 \leq y/(1+y) \leq (y \wedge 1)$ なので、(2) の2行目の条件は $\displaystyle \lim_{n \to +\infty} \int_\Omega (|f_n-f| \wedge 1) d\mu=0$ と同値である。この条件の方が測度収束と直接つながるように思う。なお、$y/(1+y)$ の形の式は問題90で取り扱われていて、$(y\wedge 1)$ の考え方は問題92(1) で再登場している。
- p191(3) の前半。丁寧に $\epsilon$ を使って議論しているが、5行目の $d(f,g) \leq d(f,f_n) + d(f_n,g)$ で、極限 $\displaystyle\lim_{n\to+\infty}$ を考えれば、仮定より右辺は $0+0$ となるので $d(f,g)=0$ が得られる。
- p192, line -2. $a_{1+n}$ と $a_{n+1}$ が両方出てくるが、同じ表記に統一した方が見やすい。
- p194(1) 少し整理しておくと、$\displaystyle \Vert f \Vert_{L^1(F)} \leq \int_{|f|\geq K g} |f|d\mu+K \Vert g \Vert_{L^1(F)}$ がp194-195 の議論で示されていて、したがって、$\displaystyle \sup_{f \in A} \Vert f \Vert_{L^1(F)} \leq \sup_{f \in A} \int_{|f|\geq K g} |f|d\mu+K \Vert g \Vert_{L^1(F)}$. この評価式で、まず $K$ を大きくとって右辺の第1項を $\epsilon/2$ で上から評価し、次に $\delta$ を小さくとって第2項も $\epsilon/2$ で上から評価する、という作戦。
- p197(2)の前半、1行目から6行目の別解。(1) を使うと、いいのでは?
仮定の2つ目は$\iota_K\circ f_n = f_n$ を意味する。そして、仮定の1つ目「$f_n$ が $f$ に測度収束」と(1)の結論「$\iota_K \circ f_n$ が $\iota\circ f$ に測度収束」を合わせてみると、同じ数列 $f_n$ が $f$ にも $\iota_K \circ f$ にも測度収束する、という状況になっている。極限の一意性より $\iota_K \circ f =f $ が得られる。