文章をチェックする。書いたものをチェックする方法をいくつか書きます。(下記の引用ページにおける敬称を略します。)論文の「書き方」をテーマとする本や web page を見ると諸注意がたくさん書いてあるので、それを見てしまうと臆してしまって、書けなくなってしまいます。それでは本末転倒です。「まずは諸注意を気にせず、書いてみましょう」(これが大切)。見ているだけで書かないとスキルアップしません。そして、書いた後、チェック項目を参考に書いたものを直して行きます。そのためのチェック項目を挙げます。 文章をチェックする。[[別のページへ>/ochiai/papers2]] 書いたものをチェックする方法をいくつか書きます。(下記の引用ページにおける敬称を略します。)論文の「書き方」をテーマとする本や web page を見ると諸注意がたくさん書いてあるので、それを見てしまうと臆してしまって、書けなくなってしまいます。それでは本末転倒です。「まずは諸注意を気にせず、書いてみましょう」(これが大切)。見ているだけで書かないとスキルアップしません。そして、書いた後、チェック項目を参考に書いたものを直して行きます。そのためのチェック項目を挙げます。 - とりあえずまず、スペルチェック。何にも道具がなければ、Word にtex source をコピペして、波線が引かれる単語を注視する。これだけでもかなり有効。 - 小田忠雄[[「由緒正しい」>http://www.math.tohoku.ac.jp/tmj/oda_tex.pdf]]を見る。TeX の書き方で機械的に直せるところを直す。英文を主対象としているが、和文でもとても参考になる。全部のチェックポイントをいっぺんに見ると散漫になるので、1.1 節の内容がOKか、1.2 節がOKか、1.3 節がOKか、と順番にチェックのがよい。 - 黒木玄:日本語 LaTeX を使うときに[[注意するべきこと>http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/LaTeX/howtolatex.html]]. 日本語で数学の論文を書くときのTeX。全体は長く、難しい部分もあるが、まず、ファイルの中ほどの「初心者が陥りがちな細かな失敗」に挙げられている10個程度のチェック項目を見よう。 この3つ(英単語のスペルとTeX) だけで、かなり見るべき箇所が減る。 数学に固有な些末なチェックポイント。 - 「加算」。内容的に「加算」と関係ない文章では、「可算」の間違いである可能性が高い。 - 「にたいして」。直前に数式があると、「に対して」と変換されないことが多い。「とかく」も「と書く」と変換されないことがある。 - 内積の記号に不等号が使われている。\langle, \rangle に直す。(小田忠雄 1.6.3) - 内包的記法に | が使われている。\mid に直す。 - 母音の発音の前の不定冠詞。a a, a i, a u, a e, a o で全文検索し、必要なものは an に直す。(c.f. 小田 p12) - 参考文献のページの間がハイフンになっている。en ダッシュ(--)に直す。(小田 1.6.1) - \ldots, \cdots の誤用は直す。 (小田 1.5) ここからが内容的なチェック項目。まず、やや機械的にチェックできるところ。修正するだけではなく、自分の間違いやすいポイントを覚えておくと、次に有効。 - 数式の括弧と閉じ括弧が対応していることを確認する。せめて、個数が一致していることを確認する。 - すべての文の文末にピリオドがついていることを確認する。特に、記号で終わる文、display されている文、命題などの終わりの文。 - 和文の場合、「をを」「のの」などの誤った重複がないかどうか確認する。source file では、間に改行がある場合が多いので、ソースの検索では見つかりづらい。 内容的なところ。機械的ではすまないかも。 - 英文の場合、主語と述語の単数複数が一致していることを確認する。 - [[天野浩文>http://isabelle.cc.kyushu-u.ac.jp/~amano/how_to_write/english.html#Head-And-But]] これも長いので、いくつかの易しい(=判断の易しい)ポイントに絞って、まず見てみよう。例えば、And で文を始めない、など、理由がわかってよい。 - [[落合理>http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ronbunsakusei.html]] 私と同姓の数学者。「論文作成上の一般的な注意」には、参考になる意見がたくさん書かれています。特に(2)(6) などが私の趣味と合う。 - 理数系のための技術英語練習帳 ―さらなる上達を目指して―. 金谷 健一著. ISBN 978-4-320-00589-1. 冠詞の使い方などを含め、詳述や例が理解しやすい。 読み手(たいていは指導教員)は、与えられた原稿のレベルに合わせたコメントを主にします。簡単な冠詞や単数複数の間違いがたくさんある論文に対しては、いきなり序文や要旨の書き方のデリケートな点まで注意が及びません。トリビアルで機械的に修正可能な間違いは極力減らした原稿を提出することが望ましいです。[[作法>>http://isabelle.cc.kyushu-u.ac.jp/~amano/how_to_write/#sahou]]。かといって、修士論文のように締め切りがあるものに対しては、いつまでも自分で直していて先生に見せず、先生が見る時間が1週間しかない、というのは極端すぎます。常識の範囲でバランスを考えましょう。と言われると判断が、難しいかな?だったら、まず、第2節が書き上がったら(序文を除いた本文のどこかの1節)、そこを自分でチェックしてみてもらいましょう。自分の典型的な誤りのパターンがわかるので、あとあと書くときや直すときの参考になりますから、本人も見る人もレベルの高い注意点に集中することができるようになります。